ブリキ玩具に込めた熱い思い――トミー創業80周年

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「ブリキの玩具」を超えることができたのか?

アメリカで人気商品になった「PIGGY COOK」
アメリカで人気商品になった「PIGGY COOK」

国内向けのおもちゃ「DC-7C」
国内向けのおもちゃ「DC-7C」

   同じ頃、日本は高度経済成長期に入り、この頃から国内向けの玩具も好調になってきた。昭和34(1959)年、国内向けでもある日本航空DC-7Cが登場している。電池で走るブリキの飛行機だ。そうだ、この頃は1ドル360円だったと、ふと思い出した。

   セルロイドの利用、プラスチック部品の利用と、工業製品の進化と同じように、玩具の素材や製造法も変わっていく。写真集は懐かしい時代にとどめられているのだが、読んでいるこちらとしては、その後を加えてしまう。

   正直に言えば、ただのブリキの玩具である。しかしその後、それを超えることはできたのだろうか。その味わいはなかなか超えられないように思う。限定された中だからこその工夫は、限定が外れた瞬間に廃れるものかもしれない。

   別にマニアではないけれど、自宅でも職場でも、僕の集めたブリキの玩具が棚の上に並べられている。壊れたままのロボットもいる。プロペラだけ折れた飛行機がある。職場では時に発想に詰まったデザイナーがその前でぼーっとしていたりする。ブリキの玩具にはそういう価値もあるようだ。

   「PIGGY COOK」が創業80周年記念で復刻された。その値段に少し驚くが、この流れを知れば納得もできる。80周年、おめでとうございます。

坂井直樹




◆坂井 直樹 プロフィール

坂井直樹氏
ウォーターデザインスコープ代表/コンセプター。1947年京都市出身。京都市芸術大学デザイン科入学後、渡米。サンフランシスコでTattoo Companyを設立。ヒッピー達とTattooT-shirtを売り、大当たりする。帰国後、ウォータースタジオを設立し、日産「Be-1」「PAO」のヒット商品を世に送りだし、フューチャーレトロブームを創出した。2004年デザイン会社、ウォーターデザインスコープ社を設立し、ケイタイを初めとした数々のプロダクトを手がける。現在auの外部デザイン・ディレクター。07年9月、新メディアサイト「emo-TV」を立ち上げる。同年12月には、日常の出来事をきっかけにデザインの思想やビジネスコンセプトを書きつづった「デザインの深読み」(トランスワールドジャパン刊)を著した。

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