「ブリキの玩具」を超えることができたのか?
アメリカで人気商品になった「PIGGY COOK」
国内向けのおもちゃ「DC-7C」
同じ頃、日本は高度経済成長期に入り、この頃から国内向けの玩具も好調になってきた。昭和34(1959)年、国内向けでもある日本航空DC-7Cが登場している。電池で走るブリキの飛行機だ。そうだ、この頃は1ドル360円だったと、ふと思い出した。
セルロイドの利用、プラスチック部品の利用と、工業製品の進化と同じように、玩具の素材や製造法も変わっていく。写真集は懐かしい時代にとどめられているのだが、読んでいるこちらとしては、その後を加えてしまう。
正直に言えば、ただのブリキの玩具である。しかしその後、それを超えることはできたのだろうか。その味わいはなかなか超えられないように思う。限定された中だからこその工夫は、限定が外れた瞬間に廃れるものかもしれない。
別にマニアではないけれど、自宅でも職場でも、僕の集めたブリキの玩具が棚の上に並べられている。壊れたままのロボットもいる。プロペラだけ折れた飛行機がある。職場では時に発想に詰まったデザイナーがその前でぼーっとしていたりする。ブリキの玩具にはそういう価値もあるようだ。
「PIGGY COOK」が創業80周年記念で復刻された。その値段に少し驚くが、この流れを知れば納得もできる。80周年、おめでとうございます。
坂井直樹