DSでは体験できない面白さ 「おもちゃ美術館」オープン

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   東京のど真ん中、新宿区四谷に「おもちゃの美術館」がやってきた。館内は国内外の様々なおもちゃが集められていて、実際に子供が手にとって遊ぶことができる。そこは、美術館というよりは「秘密基地」に近い遊び空間だった。

自分の「手」を使って遊ぶおもちゃたち

ビリヤードのようなゲーム。ルールは自分たちで作る
ビリヤードのようなゲーム。ルールは自分たちで作る

   2008年4月20日にオープンした「東京おもちゃ美術館」を運営するのはNPO法人の日本グッド・トイ委員会。もともと新宿区中野にあったが、施設が手狭になったことや近隣住民からの要望を受けて、廃校になっていた旧四谷第四小学校の跡地に移転した。移転にあわせて教室内をリフォーム。中野に比べ約7倍の広さになった館内に、新しく購入した遊具をたくさん置いた。

   2階と3階の元教室が、展示室・遊具室になった。多くのおもちゃが集められているが、共通する特徴は「手」を使うこと、自分で「考える」こと。各遊具室にはボランティアスタッフがいるが、おもちゃの遊び方は教えない。

「基本的には、子供たちが興味をもったものについて、自由に遊んでもらいます。私たちはあくまでアドバイザーです。違う遊び方を考える子もいるので面白いですよ。『そういう遊び方があるのか』とこちらが思ってしまうものも中にはあります」

と企画事業部長の山田心さんは話す。遊び方に正解はないのだ。

2万個の「木の玉」が敷き詰められたボールプール

木の玉を敷き詰めた「ボールプール」。記者も入ってみたところ、足つぼを刺激されて気持ちよかった
木の玉を敷き詰めた「ボールプール」。記者も入ってみたところ、足つぼを刺激されて気持ちよかった

   2階部分には、優れたおもちゃを選んで展示する「グッド・トイ展示室」のほか、美術館の目玉である「おもちゃの森」がある。

   「おもちゃの森」は木製の遊具だけを集めた部屋。子供の目線で建てられた"小屋"や"秘密基地"がある。床は豪華な総ヒノキ貼りで、木の匂いが充満していた。なんといっても肌ざわりが良い。

   遊具のひとつに、木の玉を敷き詰めたボールプールがある。デパートで目にするボールプールに似ているが、中に入っているのは柔らかいボールではなくて、木でできた玉だ。手のひらサイズのツルツルした玉が約2万個、敷き詰められている。

   プールの中には3個ほど通常よりも大きな玉が潜り込んでいて、この「レア玉」を必死に探している子もいた。まるで海水をかけあうように玉を投げあう子がいれば、下へ下へと掘り進む子もいて、思い思いに自由な遊び方を楽しんでいた。

   遊具は青森、岡山、鹿児島の職人たちが作った。とにかく「本物」にこだわったそうだ。「玉の形は楕円なんです。球上のものを何個も持つと痛いんですよ。(楕円だと)握ったときに圧力が逃げるので、持ちやすいんです」。細部にも気を使っている。

男の子も女の子も「おもちゃのまち」で「おままごと」

「GOKKO SHOP」はこんな感じ。奥にあるレジスターは普段触ることができないので、子どもたちに大人気だという
「GOKKO SHOP」はこんな感じ。奥にあるレジスターは普段触ることができないので、子どもたちに大人気だという

   3階に上がると、教室内がひとつの「街」になっている。そのうちの一つ「おもちゃのまち きいろ」の部屋には「ままごと」のできるユニークな場所が用意されている。一度入った子はなかなか出てこない人気スポットの一つだ。

   「GOKKO SHOP」というコーナーには、木でできた野菜や果物、魚や飲み物が置かれている。小さな「ママさん」たちが買い物にやってきて、おもちゃのレジスターでお金(といっても木)のやりとりをする。

   買い物が済むと、「GOKKO HOUSE」と呼ばれる畳の部屋へ移動。木でできたコンロや冷蔵庫、ちゃぶ台が備え付けられていて、ワンルームマンションの部屋のようだ。木でできた包丁で食材を切りわけ、料理遊びもできる。

「男の子も女の子も、知っている子も知らない子もみんなで遊びます。見ていて面白いなと思うのは、みんな『魚』は冷凍庫に入れること。冷蔵庫に入れると知っているんですね。必ず入っています。ホラ」

誰かが残していったのだろう、本当に「魚」が入っていた。

「おもちゃはコミュニケーションツールだ」

住民の要望もあり、旧四谷第四小学校跡地に「東京おもちゃ美術館」が移転してきた
住民の要望もあり、旧四谷第四小学校跡地に「東京おもちゃ美術館」が移転してきた

   ほかにも、障害者向けに作られた指を動かすためのおもちゃや、ピラミッドのような形をした中国のパズル、コマを打ち落とすビリヤードのようなものなど、様々な楽しい玩具が「おもちゃ美術館」には展示されていた。

   おもちゃって何なのか? 美術館の山田さんに聞いてみたところ、「コミュニケーションツールです」という答えが返ってきた。

「一緒におもちゃで遊ぶことで、会話をしたり、手を動かしたりしてほしい。子どもとどう遊んでよいのかわからないというお父さん、お母さんはけっこう多いんですよ。ここで一緒におもちゃに触れて、遊びのスキルを磨いてみてはいかがでしょうか」
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