大胆不敵な「男の和装」 ユナイテッドアローズの挑戦 

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「1着90万円」の着物でも高くない!



手作業で丹念に作られた着物は見るだけも価値がある
手作業で丹念に作られた着物は見るだけも価値がある

   値段でものを言うのはわかりやすいので紹介すると、今回のコレクションで使われた着物で販売されるのは20万円から90万円。帯で6万円から50万円。高い、と感じる人もいるだろうが、実際に京都の呉服屋さんや帯屋さんで買い物をしたことのある人は、この数字は高くないと感じてくれるだろう。

   手作業で作られた一点物の布地をさらに手作業で縫い上げる。しかも300年以上も前の色や柄を甦らせている。妥当な値段ではないだろうか。オートクチュールを手にしているのだから。

   実際、京都でこういう買い物をする時に工房を見たいと言えば、きちんと手配してくれる。隠すところなどない。手作業こそ最高の贅沢品の作られる場所なのだ。言葉で書いてしまえば当たり前になってしまうけれど。

   誉田屋は創業270年という京都の帯問屋。老舗だが常に新たな挑戦を続けている。一方、ユナイテッドアローズは来年が20周年。洋服の世界では確固たる地位を得ている。多くの歴史のあるブランドが、「伝統と革新」をモットーに掲げていることが頭に浮かぶ。これを機に両者が和装に変革を与えてくれるだろう。じつに楽しみだ。

坂井直樹




◆坂井 直樹 プロフィール

坂井直樹氏
ウォーターデザインスコープ代表/コンセプター。1947年京都市出身。京都市芸術大学デザイン科入学後、渡米。サンフランシスコでTattoo Companyを設立。ヒッピー達とTattooT-shirtを売り、大当たりする。帰国後、ウォータースタジオを設立し、日産「Be-1」「PAO」のヒット商品を世に送りだし、フューチャーレトロブームを創出した。2004年デザイン会社、ウォーターデザインスコープ社を設立し、ケイタイを初めとした数々のプロダクトを手がける。現在auの外部デザイン・ディレクター。07年9月、新メディアサイト「emo-TV」を立ち上げる。同年12月には、日常の出来事をきっかけにデザインの思想やビジネスコンセプトを書きつづった「デザインの深読み」(トランスワールドジャパン刊)を著した。

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