新型電子マネーは「後払いタイプ」 一見便利そうでも「使えない」理由

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   コンビニやスーパー、交通機関――EdyやSuicaなどの「電子マネー」の使い場所が増えてきて、現金不要の電子マネーを便利に使う人も増加しているようだ。最近は、それらの跡を追うようにして、「チャージ不要」を謳い文句にしたポストペイ(後払い)型と呼ばれる新型“電子マネー”も導入が進んできた。今回は、このポストペイの仕組みと現状を考えてみたい。

ポストペイ型の代表「QUICPay」と「iD」

QUICPayに対応するJCBカード申し込みページ(の一部)。QUICPay搭載カードが選択できる
QUICPayに対応するJCBカード申し込みページ(の一部)。QUICPay搭載カードが選択できる

   ポストペイ型の主なものには、JCBを中心に開発されたQUICPay(クイックペイ)やNTTドコモのiD(アイディ)がある。QUICPayは2008年4月7日から、セブンイレブン全店舗で利用可能になった。14日からはサークルKサンクスでiDの取り扱いがはじまる。

   QUICPayはセブンイレブンのほか、サークルKサンクス、ローソンでも使える。この1年ほどの間に、ポストペイ型の普及がずいぶん進んだものだ。しかし、その割には認知、利用が進んでない印象もある。筆者の周囲では、CM等で名前を聞いた気がするが、なんだかよくわからない、EdyやSuicaとどこが違うのかといった声が多かった。

   一般のみならず、QUICPayの取扱店セブンイレブンですら、店員がその存在を把握しておらず混乱が生じる場面があったという。

クレジットカードを使って「後払い」

三井住友カードは「iD」機能を標準搭載。カード裏面に「iD」のロゴマークが表示される
三井住友カードは「iD」機能を標準搭載。カード裏面に「iD」のロゴマークが表示される

   EdyやSuicaでは、あらかじめ「電子マネー」を購入(チャージ)し、携帯電話やカードのICチップに記録される。買い物に使えば残高が減っていく。イオカードやクオカードなどのプリペイドカードが置き換わったものとしてイメージしやすい。

   対してポストペイ型はわかりづらい。「チャージ不要」といっても支払いは必要だ。ではどうするのかといえば、クレジットカードを使う。

   たとえばケータイでポストペイ型“電子マネー”を利用するには、アプリをダウンロードし、支払い用のクレジットカードを登録する。またクレジットカード自体に機能が搭載された「一体型」もある。ポストペイ型で決済した買い物はクレジットカードの他の利用分と一緒に引き落とされる。また毎月の使用可能額はクレジットカードの与信額と同じである。

   この仕組みのなかには、じつは「電子マネー」は介在しない。昔ながらの与信(クレジット)販売が、ICチップという(Edyなどとも共用の)最新の窓口を通して行われるだけで、QUICPayやiDの利用は、クレジットカードを使うのとほぼ同じなのである。

ポストペイ型電子マネーのメリットは?

   では、クレジットカードにたいしては、どんなメリットがあるのか。簡単に言えば、クレジットカードの使い道が増える――ということだろう。VISA/MASTER/JCBなどのクレジットカードは使えないが、ポストペイ対応という店で間接的なクレジット購入が可能になる。

   ところが、ポストペイを導入するような(電子マネーに熱心な)小売店では、大抵他の電子マネーやクレジットカードもサインレスで使えるものだ。「現金以外ではQUICPayやiDのみ使えます」などという店は、まだ見たことがない。

   ケータイにアプリを入れれば、ケータイがクレジットカード代わりに――。しかし、VISA/MASTERなどとは「加盟店」のケタが違う。またiDの場合はNTTドコモが主体のため、同社の携帯電話しか使えないのが不便である(QUICPayは各キャリア可能)。

   そもそもクレジットカードがないとポストペイ型決済は利用できないわけだが、使えるカードも限定され、その数は多いとは言えない。手持ちのカードが対応してなければ、新たにクレジットカードを取得しなければならない。筆者自身はたまたまiD対応のクレジットカードを持っていたため、iD搭載カードに切り替えてみたが、試しに数回使っただけで休眠状態となっている。

   チャージ不要の「便利さ」と裏腹のわかりにくさ、使いづらさがあり、先行サービスとくらべて、あえて積極的に導入、使用するほどのメリットを実感できないのが現状だと筆者は思うがどうだろうか。

虎古田・純

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