一部マニア向けとの前評判を覆して予想外に売れ続け、高性能高価格のノートPCを誇ってきた国内メーカーを心胆寒からしめているという低価格パソコンEee PC。だが、ひとつ重大な問題がある。それは呼び方が難しいことだ。
まず会社名と製品名が第一関門だが、これはそう難問ではない。アスースのイーピーシーと発音すればいいのだ。しかし、この製品をジャンル分け、カテゴライズしようとすると大きな壁にぶち当たる。メーカー自身によれば、MID(Mobile Internet Device)だし、UMPC(Ultra-Mobile PC)が適当だと考える人もいる。そして、CPUメーカー、Intel(インテル)による最新の呼び名ではNetbook(ネットブック)であるらしい。
インテルやマイクロソフトが定義した「UMPC」
大人気のEee PC。ノートPCの新分野を切り開いたが、それだけに呼び名に困る
元来、UMPCはインテルやマイクロソフトが定義した規格だ。ネット接続やマルチメディア機能を備えた小型PCであるのはEee PCと同じだが、画面サイズが7インチ以下でタッチスクリーン(画面を触って操作できる)を備えるなどのUMPC用の規格をEee PCは満していない。UMPC機器の外見は主として(自称)ポケットサイズのストレート型で、折りたたみのブック式Eee PCとは見た目の形状からして違っている。
では、Eee PCをUMPCと呼んだら間違いなのかといえば、そうとも言えないだろう。マスメディアや世間はこうした用語をけっこう柔軟に解釈するものなのだ。UMPCの「超小型モバイル」という名称がちょうど適当なせいもあるのか、従来の小型ノートパソコンより小さい、ディスプレイサイズが10インチ以下のPCを「UMPC」として一括りにする傾向がある。
「MID」はUMPCの一種とされるが、この2つの区別はわかりづらい。インテルのウェブサイトでは、UMPCからオフィス系の用途を省いたのがMIDと紹介されている。その分、個人ユーザー向けの色合いが濃く、マルチメディア系エンタメ志向ということのようだ。このMIDという言葉もUMPCと同じような一般用語として使われることがあり、アスースも、インテルよりは、字義的・世間的な定義に従ったのだろう。
虎古田・純