音響機器メーカーの「一体型」パソコン
オンキヨー、そしておそらく国内音響機器メーカー初の量産パソコンは06年に発売した「HDC-7(N)」だ。OSはWindowsXP Media Center Editionを搭載し、横幅、奥行きがそれぞれ約40cmという大型、ゴールドの筐体が目を引く。パソコンが生じる騒音や震動を抑えるため、オーディオで培った技術を盛り込んだり、同社製の高音質サウンドボードなどが搭載されているのが特徴だ。
07年にはコンポ「INTEC 205」シリーズにデザインや大きさを合わせたコンパクトな「HDC-1.0(S) 」が登場。「INTEC 205」のアンプをベース一部改良したアンプと組み合わせた「APX-1(S) 」も販売された。OSはWindows Vistaの Home Basicになった。
上記の二つのモデルでは、音楽を収録したパソコンとそれを再生するためのアンプは別(セパレート)だった。言い換えると、オーディオ用に工夫はされているとはいえ、「ただのパソコン」だったのだ。
それが08年2月下旬に発売された最新モデル「APX-2(H) 」では、ついにパソコンとアンプが同一の筐体内に収まる「一体型」モデルに進化。OSもWindows Vistaの Home Premiumにグレードアップした。
何かと何かを合わせるか、それとも別にするか――はいつでも悩ましい。たとえば携帯電話とワンセグテレビが合体すると、便利なようだが、テレビでバッテリーを食い、電話に支障がでたりする。その意味では、パソコンとアンプの合体も一長一短に思えるが、オンキヨー「デジタルと音楽の融合」を謳う以上、「一体型」のラインナップは必要だっただろう。ここに至って、オンキヨーPCはひとつの完成型を見たと言えそうだ。
虎古田・純