ハイビジョン、フル規格のビデオカメラは本当に必要か?
軽薄短小路線を行く三洋の「DMX-HD1000」。フルハイビジョン録画は4GBのSDHCで約43分可能。
ビデオカメラと同じように「画」を記録するデジタルカメラというジャンルを眺めてみると「コンパクトデジカメ」が一大勢力だ。翻ってビデオカメラでは、重厚長大で高額なモノが幅を利かせ、変わることなく主流派でいる。
最新モデルの宣伝を見ていると、もはやフルハイビジョン(HD)規格録画できなければ時代遅れ、とでも言いたげである。しかし、たとえば子供の入学式や運動会――画面の半分は人の頭が映っていたりする――が、いますぐ(フル)ハイビジョン規格映像でなければいけないのだろうか。
あるメーカーの広告が押しつけがましく示唆するように、「子供の姿を高画質で残す」のは親の務めなのかもしれない(もっとも、デジカメの画質がピクセル数だけでは計れないように、ビデオの「画」も解像度では決まらないはずだが…)。
フルハイビジョンは悪くない。しかし、そのために全てを捧げるつもりもない。HDDを積むなどしてカサも重量も増した高価なカメラを持ち、それをディスクに記録するために、またしても高価(で使用者がまだ少数)なブルーレイレコーダーとディスクを買うなどといったことは、少なくとも凡庸な撮影者である筆者にとっては願い下げである。
むしろデジカメのように、コンパクト、軽量で簡単、手頃な価格のビデオカメラの選択肢がもっと増えてほしいと願う筆者であった。
虎古田・純