ワインとアートの素敵な関係 ウォーホルが描いた「ワインラベル」

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   六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーでは今、「ムートン・ロスシルド ワインラベル原画展」が開かれている。ワイン好きなら知らない人はいない、シャトー・ムートン・ロスシルドのヴィンテージ・ラベルが原画とともに整然と並んでいる。実に壮観だ。

原画作成の報酬は「シャトー・ムートン10ケース」

アンディ・ウォーホルが描いたワインラベル
アンディ・ウォーホルが描いたワインラベル

   この独特のラベルの習慣が始まったのが1945年。毎年芸術家にラベルを依頼し、できあがった原画を元にラベルを作成する。そしてその過程を感じさせる標本箱のようなコラージュが毎年ひとつずつ増えていく。誰もが知っている芸術家もいれば、そうでない人もいる。

   オーナーの意見で芸術家は選ばれている。ブラック、ダリ、セザール、ミロ、カンディンスキー、ピカソ、キース・ヘリング、フランシス・ベーコン...間違いなく20世紀後半をカバーするアート・コレクションと言っていいだろう。

   オープニングのパーティーには現在のオーナーであるフィリピーヌ・ドゥ・ロスシルド男爵夫人が現れ、テープカットを行った。この男爵夫人自身が今も芸術家に依頼をしているそうだ。

   僕も初めて知ったのだが、この原画作成の報酬は自分の関わったラベルを含んだシャトー・ムートン10ケース。内訳は5ケースが自分の作品のラベルのもの、残り5ケースは話し合いで過去のヴィンテージ・ワインから選んだもの。まさにお金では買えない価値だ。芸術家たちも喜んで他の芸術家のラベルを眺めつつ、制作に入ったに違いない。

坂井直樹




◆坂井 直樹 プロフィール

坂井直樹氏
ウォーターデザインスコープ代表/コンセプター。1947年京都市出身。京都市芸術大学デザイン科入学後、渡米。サンフランシスコでTattoo Companyを設立。ヒッピー達とTattooT-shirtを売り、大当たりする。帰国後、ウォータースタジオを設立し、日産「Be-1」「PAO」のヒット商品を世に送りだし、フューチャーレトロブームを創出した。2004年デザイン会社、ウォーターデザインスコープ社を設立し、ケイタイを初めとした数々のプロダクトを手がける。現在auの外部デザイン・ディレクター。07年9月、新メディアサイト「emo-TV」を立ち上げる。同年12月には、日常の出来事をきっかけにデザインの思想やビジネスコンセプトを書きつづった「デザインの深読み」(トランスワールドジャパン刊)を著した。

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