若者のクルマ離れは本当か?
「若」対「壮」激論!クルマ談義(1)

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

「技術進歩のおかげで、運転の喜びや楽しさが奪われた」

女性を意識してデザインされた日産「モコ」
女性を意識してデザインされた日産「モコ」

☆壮   うーむ。だとすると、昔の「セリカ」とか「シルビア」みたいな若者向けのデートカーを売り出しても、若者は振り向かないのかな。きっと、昔憧れたおじさんたちがメインの購入層になっちゃうんだろうな。「スカイライン」や「ロードスター」もおじさんの購入が多いそうだし。

★若   その点に関して思い出すのが、元F1ドライバーのアラン・プロストが言った言葉です。彼は「今のF1は誰でも勝てる」と言ったそうですが、技術が進んでクルマがさまざまな運転技術をサポートするようになった結果、運転の喜びというものが奪われたという批判が、この言葉には含まれているような気がします。クルマというものはちょっと前まで、素早いシフトチェンジ、車庫入れ、というような“スキル”を高めないと乗りこなせないものでしたよね。

☆壮   そうそう。“スキル”を磨いて上達すると、優越感や満足感にひたることができた。だからいっそう運転技術を磨こうと思ったし、裏道を覚えようとした。

★若   いまや「フェラーリ」でさえもAT限定免許で運転自体はできるんです。シフトはオートマティック全盛で、車庫入れもパノラマビューという装置で簡単にできる。裏道を覚えなくてもカーナビがあれば済みます。

☆壮   技術進歩のおかげで、クルマは安全で易しい乗り物になったけれど、同時に運転の喜びや楽しさも奪われたと言えるだろうね。じゃあ、どうすれば運転の喜びを取り戻せるのだろう。「シトロエン2CV」みたいな原点に帰ればいいのかな。

★若   それは難しいでしょう。だって、今やクルマの主力ユーザーは女性なんです。コンセプトの段階で女性だけを向いているような車が増えています。クルマは今後もどんどん易しい乗り物になっていくでしょう。

☆壮   買い物とか子供・夫の送り迎えとか、日常的にクルマを運転するのは奥さんのほうが多いだろうね。購入の際も奥さんの意見が重みを持つだろう。そういえば、女性向けのインテリアを売りにするクルマが、たしかに増えたな。

★若   でも、女性から叱られることを覚悟で言うと、女性にとって、クルマはあくまでも便利な道具であって、クルマが大好きとか熱中しているわけではないと思うんです。一方、男性のほうは、クルマに憧れを感じたり、夢を求めたり、ある種の思い入れを持つ人が少なからずいます。
   こういう車好きの購買層がスポイルされているともいえますね。そうした男性は一部かもしれないけれど、ある意味では有力な支持者のはずなんですよ。その層に向けて、値段が安めで、運転する楽しみを追求した車を作れば、クルマに対する若者の意識も変わるかもしれません。

☆壮   言い換えれば“スキル”を必要とするクルマだね。

★若   乗りこなすことがカッコいいという意識も生まれてくると思います。

☆壮   その点、ヨーロッパではトランスミッションがMT中心で、クーペやセダンが充実していることからもわかるように、車を運転する楽しみを考えている。こうした日本とヨーロッパのクルマに対する考え方の違いは、環境対策とか安全対策にも表れているんじゃないだろうか。2回目は、そこをテーマに議論しよう。

   ※日欧の「環境技術」どっちが上? 「若」対「壮」激論!クルマ談義(2)
   ※「未来のクルマ」を定義しよう 「若」対「壮」激論!クルマ談義(3)

姉妹サイト