今までにない世界がここにある シュールな笑い「Golden Eggs」

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   日産NOTEのCMで一気にメジャーになった「The World of Golden Eggs」(以下、GE)に僕もこのところはまっている。シュールな笑いが一気に大量に押し寄せて来た。次々に見てしまう。ちょっとした時間に見るにはもってこいのコンテンツだ。テレビの時間にあわせて30分、1時間と座っている感覚ではない。ちょっと見る。時に繰り返し見てしまう。

従来の「広告のタブー」打ち破る


   今までに見たことのない世界がここにある。アメリカン・コミック風だと感じはするが、この世界は今までにない。CGを実際に作っている僕の会社のスタッフに聞いたら、「これは全部3次元CGですよ」と言う。

   3次元CGでトゥーンシェーディングという方法を使うと輪郭線を作ることができる。色彩をくっきりさせ、さらに光源を環境光のみにすると、まさにアニメのような質感になる。顔だけは表情を豊かにするため、融通の利く2次元のアニメーションを採用している。

   だから顔面は真っ平ら。目玉は3次元で動かす。3次元で作っておくことで、実は2次元以上に大量生産しやすいシステムができる。時に手持ちカメラ風にわずかに揺れているカットもある。これを2次元アニメでやったら超絶技巧...・・・。

   僕にはさっぱりわからない話だが、よく考え抜かれたシステムのようだ。しかし見ていて思うのは映像のリアルさではなく、話の面白さがいかに重要かだ。

   掛け合いの面白さ。懐かしいところでは「スネークマンショー」の面白さ。今どきの漫才のような面白さもある。英語やフランス語を使った笑いはまさに今の笑いだ。日産のCMではNOTEという商品名をおちょくっている。従来広告の世界ではタブーだったが、そういう笑いも英語が日常にあふれている今ならば許されることを証明してくれた。

ウェブで楽しむ動画は要チェック


   新しい世界を切り開くことは、実は大変なことだ。「サウスパーク」「シンプソンズ」のように世界で知られる作品はやはり、それまでにない世界を築いている。GEも独自の世界が広がっている。制作しているのはプラスヘッズ。

   簡単そうに見えてきちんとキャラクターの設定をし、性格や言葉遣いのルールをキャラクターごとに決めている。その上で作るたびに新しいことを盛り込んでいく。GEの世界はまだまだ楽しめる余地が広がっていそうだ。

   ウェブの中でも「YouTube」に限らず、蛙男商会、しりあがり寿さんのサイト「おーい! サルヤマハゲの助」など、独自の動画世界を目指す動きが広がってきた。僕も「emoTV ムービーのココロミ」というサイトを立ち上げて、まさに試みを始めたところだ。

   動画で何ができるか、新しい表現が生み出せるか。ウェブで楽しむ動画は要チェックだ。新しい才能もきっとたくさん見つかると思う。

坂井直樹




◆坂井 直樹 プロフィール

坂井直樹氏
ウォーターデザインスコープ代表/コンセプター。1947年京都市出身。京都市芸術大学デザイン科入学後、渡米。サンフランシスコでTattoo Companyを設立。ヒッピー達とTattooT-shirtを売り、大当たりする。帰国後、ウォータースタジオを設立し、日産「Be-1」「PAO」のヒット商品を世に送りだし、フューチャーレトロブームを創出した。2004年デザイン会社、ウォーターデザインスコープ社を設立し、ケイタイを初めとした数々のプロダクトを手がける。現在auの外部デザイン・ディレクター。07年9月、新メディアサイト「emo-TV」を立ち上げる。同年12月には、日常の出来事をきっかけにデザインの思想やビジネスコンセプトを書きつづった「デザインの深読み」(トランスワールドジャパン刊)を著した。

>>>emoTV ムービーのココロミ


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