コンピュータ・ウイルスに関するニュースが相変わらず喧しい。通称「原田ウイルス」を作成、配布したという大学院生は、そのなかでアニメの画像を無断使用したため、著作権法違反容疑で、いわば別件逮捕された。
亜種も含めて100以上を作ったという一連のウイルスは、パソコン内のファイルを使用不能にする「破壊活動」を主に行うものだが、この数年のトレンドはご存じの通り「暴露・流出」系だ。
セキュリティの「安全神話」こそ、危険だ
シマンテックの「ノートン・アンチウイルス」は世界シェア1位のソフト
今日のファイル交換ネットワークには、映画や音楽のみならず、仕事のファイル、国家機密、旅行の写真などの情報が氾濫している。2008年2月15日も日立子会社の社員が、東京電力と中部電力の火力発電所に関する書類がWinnyに流出したと公表された。
さて、こうしたニュースとセットでよく目にするのが「Winnyなどのファイル交換ソフトを使用しない」「怪しいファイルは実行しない」「ウィルス対策(セキュリティ)ソフトを導入し、適宜更新する」といった"対策"である。
それらはたしかに間違ってはいない。一方で、この手の単純化された"標語"は「これをやってる(やってない)から大丈夫」とユーザーの危機意識を下げ、かえって危険を増してる側面がないかと、筆者は少々心配になってしまう。実際に、ウイルスの被害は一向に減ってないわけだ。
そこで、今回はこれらの「安全神話」を取り上げて、「それでも感染する」という場合をあえて考えてみよう。
虎古田・純