バレンタインデーということなので、それに合わせてチョコレートの話を書こう。バレンタインデーのために国内で販売されるチョコレートは500億円で、年間消費金額の1割を超えているという。これは大きい。2月14日は業界ではとても重要な日なのだ。
コンビニで買えるものもあれば、デパートの地下食品売り場で買う高級チョコレートもある。都心ではヨーロッパの有名店のチョコレートを、わざわざその店まで行って買うこともできる。
店内は「チョコレート」で覆われている
「100%チョコレートカフェ」のメイン商品「56種類のチョコレート」
明治製菓がプロデュースしている「100%チョコレートカフェ」が面白い。2004年12月、東京・京橋の本社ビルの一角にオープン。インテリアデザインをワンダーウォールの片山正通さんが担当した。店内は見事にチョコレートで覆われている。天井は板チョコのような形。突き当たりの壁はキッチンのような白いタイルだ。小さなホワイトチョコみたいだな、と僕は感じた。
うまいな、と思ったのはカウンターの作り。店の人のいるところが一段高くなっている。店の人とやりとりする際に、やや見上げる形になる。これが店に独特なスノッブさを生み出す。店の人の言葉遣いが丁寧で優しいので、スノッブさが威圧感にならない。よく計算されている。
グラフィックデザインはグルーヴィジョンズ。着せ替えタレント「chappie」を使った展開、「広告批評」やリップスライムのアートディレクションなどで、その仕事は多くの人の目に触れているはずだ。水色とチョコレート色の組み合せをベースに、店内も商品も、バッグやショップカードも統一して作られている。
さらにメニュー開発、ディスプレイに専門家を置き、デザイン全般については安東孝一さんが、片山さんとグルーヴィジョンズの作業を統合するように存在している。思いつきではない、きちんとした店舗作りと商品作りが行われている。これだけの徹底は確かに1店舗に留めないとできないだろう。しかし、どんなお客さんがどんなものを求めているのかを知るためのいいアンテナショップだとも言える。
坂井直樹