2月14日のバレンタインデーまであと1週間。この時期にしか手に入らない「限定チョコ」が売り出されるとあって、自分のための「ご褒美チョコ」「マイチョコ」選びに熱をあげる女性が増えている。そんな「マイチョコ選び」は、女性だけでなく男性にも広がりつつある。
パリ老舗の「マカロン」に行列
三越が期間限定で販売する「ラデュレのマカロン」
「バレンタインはここ数年の間ですっかり女性自身が楽しむイベントとして定着した」。そう評価する三越は、好奇心旺盛な女性たちに向けて「バレンタイン限定商品」を売り出している。
目玉の一つが、世界的に有名な洋菓子職人協会「ルレ・デセール」に所属するパティシエが作ったチョコレート。9人の腕利き職人が作ったチョコを1粒ずつ入れてセットにした(9個入り3360円)。「塩味と香辛料」をテーマに、チョコレートの新しい味わい方を提案している。
もう一つの注目商品が「ラデュレのマカロン」だ。日本にもファンが多いパリの老舗菓子店ラデュレのマカロンを数量限定で販売している。こちらも8個入り3360円と決して安くないが、口コミで評判が広がり、朝からものすごい行列ができる人気ぶり。
「1人5点までという制限を設けていますが、5点買っていく女性のお客様がたくさんいます。きっと、ご自分用だと思いますよ」
と三越の広報担当者は話す。
男でも気兼ねなく買える「ショコラバー」
シブヤ西武の紳士服フロアに設けられた「ショコラ・テイスティングバー」
一方、女性ではなく、男性の「マイチョコ需要」に目をつけたのは西武百貨店だ。東京・渋谷のシブヤ西武では2008年2月1日から14日まで、紳士服フロアに「ショコラ・テイスティングバー」を設けて、チョコの無料試食ができるようにした。
「バレンタイン史上初の企画ではないか?」
同百貨店がこうアピールするユニークな企画は、07年12月にそごうと西武百貨店が実施したアンケート結果にヒントを得たものだ。男性約2000人にアンケートしたところ、バレンタインの時期にチョコを「買ったことがある」か、「ないが買ってみたい」という男性が約4割もいることが分かったのだ。
「男性も女性と同じように『バレンタイン限定チョコ』を買いたい人がたくさんいると思います。でも、バレンタインフェアの店頭で買うのはさすがに気がひけるのではないかと考え、男性でも気兼ねなくチョコを試食できる場を作ってみました」(西武百貨店広報担当者)
テイスティングバーでは、「ル ショコラティエ タカギ」など4ブランド6種類の中から2種類まで(量は2分の1個)、無料で試食できる。気に入れば、その場で購入が可能だ。
オープン時間は、平日17時~20時、土日祝日15時~18時の1日3時間に限定した。試食できる人数も各日先着50人に限っているが、30代前後を中心にスイーツ好きの男性がコンスタントに訪れているという。
日本人は商業主義に踊らされている?
しかし、そもそもバレンタインデーといえば、ふだんは恥ずかしくて言葉にできない「愛の気持ち」を伝える日だったはず。「愛のバレンタイン」はどこへ行ってしまったのか!?
このような状況について、「バレンタイン粉砕デモ」を08年2月10日に主催する「革命的非モテ同盟」書記長の古澤克大さんは、
「私もチョコは好きですが、好きなときに好きなものを食べればいいと思う。日本人は過度の商業主義に踊らされて、バレンタインデーの本来の意味を見失ってしまっているのではないか」
とコメントしている。ちなみに、古澤さんのお薦めのチョコブランドは「ジャン=ポール・エヴァン」だそうだ。