アルミの特徴をうまく活かした「ORIGAMI」
アルミの椅子の代表と言えばemecoのNAVYシリーズを代表とする椅子が頭に浮かぶ。フランク・ゲイリーやフィリップ・スタルクといった、癖のあるデザイナーたちがemecoの椅子のデザインをしている。座面のくぼみが、人が座っている姿を想像させる。金属としての硬さや光沢が贅沢な印象を与える。
ORIGAMIはこれとは正反対な印象を与えるが、航空機に使われる構造体としてのアルミの特徴をうまく活かしている。飛行機の軽量化はアルミを使った合金であるジュラルミンなしにはできない。そしてもっとアルミと縁が深いのが飛行船だ。板を立体的に曲げることによって強度を上げる。軽くするために平面には穴を開ける。こうしてできたアルミのフレームはかつて飛行船の構造体として活躍した。
そしてこのアルミフレームは驚くほど鳥の骨の構造に似ている。軽くする努力の最先端が鳥だというのは納得がいく。アルミという素材にはまだまだこの先があるのだろう。この椅子はその扉のひとつかもしれない。
日本人の目から見て、これを「ORIGAMI」と名付けるのは若干抵抗があるが、折り紙を作った後に開いてみると、まさにこんな線に出会う。もしかしたらブルメルはそれを知っていたのかもしれない。
坂井直樹