「ORIGAMI」という名前の不思議なイス

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アルミの特徴をうまく活かした「ORIGAMI」

   アルミの椅子の代表と言えばemecoのNAVYシリーズを代表とする椅子が頭に浮かぶ。フランク・ゲイリーやフィリップ・スタルクといった、癖のあるデザイナーたちがemecoの椅子のデザインをしている。座面のくぼみが、人が座っている姿を想像させる。金属としての硬さや光沢が贅沢な印象を与える。

   ORIGAMIはこれとは正反対な印象を与えるが、航空機に使われる構造体としてのアルミの特徴をうまく活かしている。飛行機の軽量化はアルミを使った合金であるジュラルミンなしにはできない。そしてもっとアルミと縁が深いのが飛行船だ。板を立体的に曲げることによって強度を上げる。軽くするために平面には穴を開ける。こうしてできたアルミのフレームはかつて飛行船の構造体として活躍した。

   そしてこのアルミフレームは驚くほど鳥の骨の構造に似ている。軽くする努力の最先端が鳥だというのは納得がいく。アルミという素材にはまだまだこの先があるのだろう。この椅子はその扉のひとつかもしれない。

   日本人の目から見て、これを「ORIGAMI」と名付けるのは若干抵抗があるが、折り紙を作った後に開いてみると、まさにこんな線に出会う。もしかしたらブルメルはそれを知っていたのかもしれない。

坂井直樹




◆坂井 直樹 プロフィール

坂井直樹氏
ウォーターデザインスコープ代表/コンセプター。1947年京都市出身。京都市芸術大学デザイン科入学後、渡米。サンフランシスコでTattoo Companyを設立。ヒッピー達とTattooT-shirtを売り、大当たりする。帰国後、ウォータースタジオを設立し、日産「Be-1」「PAO」のヒット商品を世に送りだし、フューチャーレトロブームを創出した。2004年デザイン会社、ウォーターデザインスコープ社を設立し、ケイタイを初めとした数々のプロダクトを手がける。現在auの外部デザイン・ディレクター。07年9月、新メディアサイト「emo-TV」を立ち上げる。同年12月には、日常の出来事をきっかけにデザインの思想やビジネスコンセプトを書きつづった「デザインの深読み」(トランスワールドジャパン刊)を著した。

>>>ムービーのこころみ「emo-Tv」


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