プロダクトを通して出会うということ――Be-1から20年

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「僕は今でもBe-1が大好きだ」

   こう書きながら、彼はブログで、ある画像を指摘している。ハンガリーの自動車のチューンナップをしている組織(会社なのかどうなのか、ハンガリーの言葉を僕は知らない)のサイトにあるBe-1の画像だ。Be-1の丸いヘッドライトの上部内側を切り取ることで、Be-1を怒った顔にしている。僕もこの表情を見て笑ってしまった。車名は「Nissan Be1 GTi」。

   このサイトの中をチェックして見たら「Nissan Be-1 White」というのも見つけた。なんだか真っ白いオバケのような、しかし愛嬌のあるBe-1がそこにいた。改造車に興味がある方はwww.hvtm.huの中を探ってみてください。デザインを真面目に考えていて頭が痛くなってきたという方にもこのサイトは面白いかもしれない。

   それにしても20年を経て、こうして遊んでくれるハンガリー人がいて、関心を持ってくれる日本のインダストリアル・デザイナーがいるということが、僕はとても嬉しかった。そこで、彼の文章を読んだことを僕のブログで伝え、感想を添えた。

   すごく可愛いブログを見つけました。プロダクトを作る楽しさの一つは、このようにまだ会っていない若い人がすでに僕たちの開発したプロダクトを通して出会っていることです。anonymousさんこのブログを見たらコメントください。

   彼からのコメントはこの日のうちに入っていた。

   いつも楽しく拝見させて頂いております。まさかこのような形で関わり合えるなど想像もしていませんでしたので、正直驚いています。『すごく可愛いブログ』とまで言って頂いて嬉しい限りです。
   私のような「まだ見ぬ若い人」に対しても、坂井さんが生み出してきたプロダクトはしっかりと出会えていますよ。

   「pen」「Casa BRUTUS」がデザインを語る以前の時代にBe-1は生まれた訳だけれど、こうして今もなお、デザインのあり方を考えている人にあのクルマが意味を持ってくれていることに、僕自身が驚いている。そしてひとこと付け加えるとしたら、僕は今でもBe-1が大好きだ。

坂井直樹




◆坂井 直樹 プロフィール

坂井直樹氏
ウォーターデザインスコープ代表/コンセプター。1947年京都市出身。京都市芸術大学デザイン科入学後、渡米。サンフランシスコでTattoo Companyを設立。ヒッピー達とTattooT-shirtを売り、大当たりする。帰国後、ウォータースタジオを設立し、日産「Be-1」「PAO」のヒット商品を世に送りだし、フューチャーレトロブームを創出した。2004年デザイン会社、ウォーターデザインスコープ社を設立し、ケイタイを初めとした数々のプロダクトを手がける。現在auの外部デザイン・ディレクター。07年9月、新メディアサイト「emo-TV」を立ち上げる。同年12月には、日常の出来事をきっかけにデザインの思想やビジネスコンセプトを書きつづった「デザインの深読み」(トランスワールドジャパン刊)を著した。

>>>ムービーのこころみ「emo-Tv」


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