「男のルームソックス」売れてます! 「冷え性」と「原油高」で人気上昇

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   冬本番を迎え、足元をほっこり暖めてくれるルームソックスやルームシューズが人気だ。これまでは冷え性の女性向けがメインだったが、最近は男性向けの商品の売り上げも伸びている。その背景には「男の冷え性」の増加や原油の高騰といった事情があるようだ。

「前年同期に比べ1.5倍の売れ行き」

さまざまなカラーが発売されている男性用のルームソックス
さまざまなカラーが発売されている男性用のルームソックス

   神奈川県のあるスーパーマーケット。紳士用の肌着売り場では、普通の靴下と並んで「ぬくぬくソックス」と書かれたルームソックスがたくさん並べられている。底に滑り止めのイボイボがついたものや足元を締め付けないように口ゴムがゆったりしたものなど、種類はさまざま。色も地味な茶色系から鮮やかな紫色のものまでバラエティに富んでいる。

   売り場の担当者は「婦人用に比べるとまだまだ少ないですが、最近は男性向けのルームソックスも種類や量が増えていますね」と話す。

   スーパーだけでなく、百貨店での動きもいい。東京・渋谷駅に隣接する東急百貨店東横店では、寒さが本格化した2007年12月以降、ルームソックスやルームシューズの売り上げが前年同期に比べ40%上回るペースで推移している。売れ筋は、カシミヤ混・総パイル地の滑り止めつきのルームソックス(1890円)とフリース素材のルームソックス(2100円)だ。担当者は「どちらかというと、奥様が旦那様に買っていかれるというケースが多いようですね」と説明する。

   京王百貨店新宿店も好調で、07年12月の販売実績は前年比60%増だった。これまでは自宅で使うためにルームソックスやルームシューズを買う人が多かったが、今シーズンは贈り物として購入する人が増えたという。「デザインのバリエーションが広がり種類が増えたことも、贈り物需要の増加につながっているようです」。

   埼玉県川口市の靴下専門ショップ「マイティ・ソクサー from 靴下屋」でも、男性向けのルームソックスが元気だ。男性向けの商品は無地とボーダーのシンプルな柄のものしか置いていないが、30代の男性がよく買っていくという。

「灯油の値上がり」でルームソックスが売れる?

   これまではルームソックスやルームシューズというと、冷え性に悩む女性が主なターゲットだった。国内最大のSNSサイト「mixi」にもルームシューズのコミュニティがあるが、「女子限定」の雰囲気だ。それがここへきて、ルームソックスやルームシューズを愛用している男性が増えているのは、なぜだろうか?

   「原油高説」を唱えるのは東急百貨店。「灯油の値上がりで暖房の設定温度を下げる家庭が増えた結果、光熱費をかけずに足を温める商品が注目されたのかもしれない」と担当者は分析する。

   似たようなところで、「エコブーム説」もある。環境意識の高まりから、暖房の温度を下げる家庭が増えているのがルームソックス需要につながっているのではないか、という推測だ。実際、ダイエーでは"家(うち)"の中でできる地球温暖化防止運動「うちエコ!」のキャンペーンとして、暖房設定温度を20度に下げる代わりにルームソックスや湯たんぽを活用することを提案している。

   一方、「男の冷え性説」も有力だ。「最近は冷え性の男性が増えていると聞くので、それも影響しているのではないか」と指摘するのは、2年前からフリース素材のショートソックスタイプのルームシューズを愛用しているという東京都内の30代男性だ。

「冷え性なので冬場はきつい。家の床は全部フローリングだが、スリッパだと脱げて歩きづらいし、家の中で靴下を履くのは好きではない。そこでルームシューズということになった」

   埼玉県内のスーパーで、底にイボイボがついたルームソックスを買ったという40代のサラリーマンも冷え性が購入のきっかけだった。「末端冷え性の対策として、厚手の靴下を履いたほうがいい」と医者に薦められ、ルームソックスを履くようになった。「スリッパだと畳の部屋に入るとき脱がないといけないが、ルームソックスだと脱がなくていい。あったかくていいですよ」とご満悦の様子だ。

   近年は日本の住宅も欧米化が進み、フローリングが一般的になった。また暖房設備もコタツやストーブといった床に置いて近くで暖まる方式から、エアコンで部屋全体を暖める方式へと変化している。そのような生活環境の変化も、ルームソックスやルームシューズの人気に影響しているようだ。

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