「灯油の値上がり」でルームソックスが売れる?
これまではルームソックスやルームシューズというと、冷え性に悩む女性が主なターゲットだった。国内最大のSNSサイト「mixi」にもルームシューズのコミュニティがあるが、「女子限定」の雰囲気だ。それがここへきて、ルームソックスやルームシューズを愛用している男性が増えているのは、なぜだろうか?
「原油高説」を唱えるのは東急百貨店。「灯油の値上がりで暖房の設定温度を下げる家庭が増えた結果、光熱費をかけずに足を温める商品が注目されたのかもしれない」と担当者は分析する。
似たようなところで、「エコブーム説」もある。環境意識の高まりから、暖房の温度を下げる家庭が増えているのがルームソックス需要につながっているのではないか、という推測だ。実際、ダイエーでは"家(うち)"の中でできる地球温暖化防止運動「うちエコ!」のキャンペーンとして、暖房設定温度を20度に下げる代わりにルームソックスや湯たんぽを活用することを提案している。
一方、「男の冷え性説」も有力だ。「最近は冷え性の男性が増えていると聞くので、それも影響しているのではないか」と指摘するのは、2年前からフリース素材のショートソックスタイプのルームシューズを愛用しているという東京都内の30代男性だ。
「冷え性なので冬場はきつい。家の床は全部フローリングだが、スリッパだと脱げて歩きづらいし、家の中で靴下を履くのは好きではない。そこでルームシューズということになった」
埼玉県内のスーパーで、底にイボイボがついたルームソックスを買ったという40代のサラリーマンも冷え性が購入のきっかけだった。「末端冷え性の対策として、厚手の靴下を履いたほうがいい」と医者に薦められ、ルームソックスを履くようになった。「スリッパだと畳の部屋に入るとき脱がないといけないが、ルームソックスだと脱がなくていい。あったかくていいですよ」とご満悦の様子だ。
近年は日本の住宅も欧米化が進み、フローリングが一般的になった。また暖房設備もコタツやストーブといった床に置いて近くで暖まる方式から、エアコンで部屋全体を暖める方式へと変化している。そのような生活環境の変化も、ルームソックスやルームシューズの人気に影響しているようだ。