今から100年前の1908年、神戸港からブラジルに向けた移民船の第1号「笠戸丸」が出航した。それから1世紀がたち、ブラジルでは多くの日系2世、3世が暮らし、日本にもたくさんのブラジル人がやって来る時代になった。節目となる2008年は、移民を記念した商品や「日伯交流」を促進するためのイベントが目白押しだ。
コーヒーで「移民の歴史」をたどる
キーコーヒーが売り出した「笠戸丸」。上品な味が特徴だという
ブラジルといえば、世界最大のコーヒー生産国。日本の国別輸入量を見ても、生豆やインスタントコーヒーはブラジルからの輸入がダントツだ。コーヒー各社はここぞとばかり記念シリーズを売り出す。
UCC上島珈琲は1月28日、缶コーヒー「UCC珈琲 探求ブラジル100%(シモサカ農園) 移民100周年記念缶」を発売する。ブラジル有数の高品質コーヒーの生産地セラード地区でも特に評価が高い日系のシモサカ農園で収穫された最高級の豆を使う。3月末までの限定販売だ。同社が07年12月から展開している「UCCブラジル移民100周年記念製品シリーズ」の第2弾商品となる。
キーコーヒーも「日本人ブラジル移住100周年記念シリーズ」を07年11月から展開中だ。シリーズ第1弾として移民船第1号「笠戸丸」の名を冠したコーヒー豆を11月23日に発売したが、08年3月には第2弾のコーヒー豆「ロンドリーナ」を発売する。コーヒー農園で働いた移民の歴史を辿る4商品を3ヶ月ごとに発売する予定だ。
キーコーヒーの広報担当者は
「日本人移民の足跡をたどることをコンセプトにしたシリーズなので、第一弾商品には移民船の名をつけた」
とネーミングの由来を語る。
佑ちゃんも投げる!? ブラジルで「早慶戦」が実現
コーヒーと並ぶ、ブラジルの象徴がサッカー。ロナウジーニョやカカを生んだサッカーの本場で、日伯友好カップなどさまざまな交流試合が予定されている。
1月には移民100周年を記念したユースサッカー大会がサンパウロで開かれる。日本からは、正月の全国高校サッカー選手権に山形県代表として出場の羽黒高校が、2年生主体の新チームで参加する予定だ。羽黒高校はブラジルからの留学生が多く、ブラジルとの交流が深い。現地で開催される大会への参加は初めてだが、「どんな相手と対戦するのか、楽しみにしている」という。
スポーツ交流はサッカーだけではない。野球関連のイベントも数多く開催される。サッカーの国ブラジルで野球というのは不思議だが、「オリンピックだと予選で負けてしまいますが、中学生クラスだと世界でもベスト3に入る実力があるのです」(ブラジル野球連盟日本事務局)。
8月には、サンパウロなどブラジルの各都市で「早慶戦」が行われる。この早慶戦の「巡業」は、東京六大学野球がブラジルチームと親善試合を行うなど50年来の付き合いがあったことから実現した。
さらに、8月下旬から9月にかけて、日伯親善の高校野球大会もサンパウロなどで開催される。日本からは夏の甲子園出場組の選抜チームが出場予定だ。
神戸や浜松で「サンバ」のフェスティバル
サンバで「日伯交流年」を盛り上げよう(写真は2007年の浜松サンバフェスティバル)
ブラジルは「サンバの国」でもある。そのサンバの日本発祥の地とされる神戸では、7月下旬に「サンバフェスタKOBE2008」が開かれる。このフェスタは毎年恒例のイベントだが、08年も全国のサンバチームが最優秀賞を目指してショーを繰り広げるサンバコンテストが行われる予定だ。
一方、多くの日系ブラジル人が暮らす静岡県の浜松市は9月13日、14日に「日本ブラジル移民100周年記念フェスティバル~はままつブラジルデー」と銘打ったイベントを行う。こちらのイベントでも「サンバ」は目玉の一つだ。
イベントを主導する浜松市企画部国際課は
「浜松は日本で一番多くブラジル系の人たちが住んでいる町で、異文化共生への意識も高い。市独自の『日伯移民100周年記念事業浜松実行委員会』を立ち上げ、30以上のイベントを企画している」
と話す。イベントの詳細はまだ企画中ということだが、2月頃からホームページとガイドブックを作成し、PRしていく予定だ。