都心の高層マンションには「緊張感のある家具」が似合う

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   「都心の高層マンションに住まう」という新しい暮らし方が数年前から始まっているのに、それに似合う家具も小道具もなかなかない――友人でもある、浪漫堂の倉垣光孝さんの言葉だ。その話を聞いたときは「そんなものかなぁ」と思っていたのだけれど、自分が実際にタワーマンションに住むようになって、納得した。

生活の中に「オン」と「オフ」が混在する時代

artiの内覧会が東京・広尾のショールームで開催された
artiの内覧会が広尾のショールームにて開催された

   広大な夜景はカーテンでふさぎたくない。ソファはテレビを見るためではなく、景色を含めた空間を楽しめる位置に置きたい。覗かれる訳ではないが、開け放っている分、見られている意識も住む側にそなわる。自宅にいるからオフ、という意識にはならない。

   さらに、生活の中に「オン」と「オフ」が混在し、瞬時に入れ替わるようになったと多くの人が感じているはずだ。僕自身、自宅にいても何か思いついた瞬間に仕事のメールを送るし、スタッフも時間などあまり気にせずに、できあがった書類や画像を送ってくる。こちらも目につけばそれに目を通す。時にはこちらも真夜中に返信をする。どこまでが仕事の時間でどこからがプライベートなのか、ほとんどわからない。

   僕たちはこんな時代に生きている。20世紀とだいぶ違ってきている。

坂井直樹


※「arti」レセプションでのインタビュー映像は「emo-TV」 こちら>>



◆坂井 直樹 プロフィール
ウォーターデザインスコープ代表/コンセプター。1947年京都市出身。京都市芸術大学デザイン科入学後、渡米。サンフランシスコでTattoo Companyを設立。ヒッピー達とTattooT-shirtを売り、大当たりする。帰国後、ウォータースタジオを設立し、日産「Be-1」「PAO」のヒット商品を世に送りだし、フューチャーレトロブームを創出した。2004年デザイン会社、ウォーターデザインスコープ社を設立し、ケイタイを初めとした数々のプロダクトを手がける。現在auの外部デザイン・ディレクター。07年9月、新メディアサイト「emo-TV」を立ち上げる。

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