四角い箱から伸びたアンテナ。手をかざしてやさしく動かすと、チェロのようなやわらかく太い音を奏でる――。ロシアの科学者が90年ほど前に発明した世界初の電子楽器「テルミン」が、いま日本で再び脚光を浴びている。
「のだめカンタービレ」に登場した演奏シーン
本物のテルミンを裏側から見た写真。見た目にも重厚だ (C)学研
テルミンといえば、古くはレッド・ツェッペリンのジミー・ペイジが愛用したことで知られる。最近では、マンガ「のだめカンタービレ」でテルミンの演奏シーンを目にした人もいるかもしれない。
テルミンは1920年にロシアの科学者、レフ・テルミン博士が発明した世界で初めての電子楽器だ。2つの高周波の「うなり」を利用するという原理で、アンテナに手をかざして動かすと箱の中の発振器に作用し、音が出るという仕組みになっている。
とはいえ、テルミンという楽器の存在を知っている人は多くても、演奏するどころか実物を目にする機会もなかった。実際、日本国内では楽器屋でも扱っているところはほとんど見あたらなかった。