「サブプライム問題が原油高の最大要因」
日本のガソリンにも米国の「サブプライムショック」は大きな影を落としている
さらに厄介なのは、先物市場の投機家は、売り買いの材料を必ずしも石油とは関係ないところで探していることだ。イラン情勢やトルコ軍のイラク進出の議会決議など地政学的リスクに加え、最近では、ファンド業者がサブプライムローン(米国の低所得者向け住宅ローン)での損失をカバーするため石油先物を買いまくるという事態まで起きている。
世界の金融市場を震撼させたサブプライム問題が、原油の値上りにも大きな影を落としている。「サブプライム問題=米国の失墜が、原油高の最大要因」と中東研究センターの研究員は語気を強める。「原油の高騰」と「サブプライム問題」という世界経済を揺るがす2つの波乱要素が、実は密接にリンクしていたのだった。
ただ最近は、「原油価格の高騰は終わりに近づいている」との見方も出てきた。原油価格を支える先物市場の投機家は気まぐれだ。「買い越しの次は利益確定のため売り飛ばす」(富士通総研)。いまの原油価格はまさにバブルであり、売り時がいつなのか投機家は見計らっているという。
とはいえ、値上がりした石油が一朝一夕で下落するわけではない。年末年始に海外旅行に出ようと思っても、ジェット燃料の大幅な上昇で、航空運賃に上乗せされる「燃油サーチャージ」は大幅アップのまま。せっかくの旅もちょっと憂鬱なものになってしまいそうだ。