生産量0.4%の「米国産原油」が世界の価格を支配する
なぜ投機家の取引で石油の値段が決まってしまうのか。その仕組みはこうだ。
日本に輸入される原油の価格は、中東産のドバイ原油の価格を指標として決められている。しかし、その価格は単純な需給バランスだけでは決まらない。世界的に強い影響力をもつ米国産原油、WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)の価格動向にも左右される。
世界の原油価格の指標になっているWTIは、生産量自体は日量30万バーレル。世界の原油生産量の0.4パーセントにすぎない。ところが、代表的な先物市場であるニューヨーク商品取引所(NYMEX)に上場されて、1日2億バーレルも取引されている。これはなんと、世界中の石油実需の2倍以上という巨大な数字だ。
米国ニューヨークの市場で投機家たちが取引するWTIの先物価格がドバイ原油の価格に反映し、それが日本のガソリンや灯油にも跳ね返る。まさに実体経済とは関係ないマネーゲームが私たちの生活を直撃しているのだ。