CD発売から25年目の見事な「変身」
ガラスCDは専用のプレス機で一日に15枚程度しか作れない。通常のCDは2秒~4秒で1枚という。手作りに近い膨大な手間とコストがかかり、価格は高額に――。「誰でも買えるモノではない」とユニバーサルの担当者は話す。筆者も、それを持つべきなのは、やはり相応のシステムを持つオーディオマニアに限られるかなと思った。
「高尚な音楽愛好家」のために、ユニバーサルは今後も年に1~2枚のペースで、このプレミアムCDシリーズを販売していくそうだ。第2弾はやはりカラヤンか、それともまったく別の幻のクラシック音源か、現在企画中とのこと。その後はジャズ、ロックといったジャンルの商品化も検討されている。
CDが発売されたのは1982年。かつての“夢の媒体"も、すっかり日常生活に溶け込み、陳腐化した。それから4半世紀後の2007年、ガラスCDの「第九」はCDのオルタナティブで美麗なスタイルを見せてくれた。値段のことはさておき、その見事で意外な変身ぶりに拍手を送りたい。
虎古田・純