期待と疑問を持ちつつ「比較試聴」してみる
右がガラスCD。比較試聴用として、同音源の通常製法CDが付属する
正式発売を前に、発売元のユニバーサルから現物を借りることができた。「家庭の普通のCDプレーヤーでも違いはわかる!」と小倉氏は断言していたらしい。それこそ、筆者の環境である。
大型の外箱には「すべてのCDプレーヤーで再生可能」と目立つように書いてある。中には、重厚な特製アクリルケースや、ブックレット、同じ音源をプラスティックCD化したものが付属する。これは「(ガラスCDとの)比較試聴用」だ。
重さが通常の約2倍の33gあるというガラスCD。手に持つと、いつもとは異なる手応え、安定感がある。期待が高まる一方で、素材の違いでどこまで音が変わるものか、という疑問も頭をもたげる。
音の違いは――あると感じた。とくに「合唱」部では、ガラスCDの音は一段と力強く、ハリがあった。歌い手たちの声は弾み、踊るような感覚がして、楽しんで聴くことができた。
ところで、同封の解説書には開発者のこんな言葉が記されている。
iPodなどに代表される、PC周辺機器を活用した音楽再生が主流となった今日において、「かけがえのない音楽作品を、より優れた音質で価値ある趣向品形体として(以下略)」
そこで、ふと悪戯心が起き、2枚のCDをMP3(320kbps)にして聞き比べたが、違いはまるで分からなかった。やはり、ガラスの円盤という“形体"が優れた音質を生むのだろうか。
虎古田・純