不快な騒音「科学の力」で撃退 「ノイズキャンセリング・ヘッドホン」

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   日々の通勤・通学の電車内で音楽を楽しんだり、語学勉強のリスニングをする人は少なくないだろう。iPodなどの音楽プレーヤーの小型軽量・大容量化によって、いろんな「音」を簡単に連れて歩ける時代になった。もっとも音を屋外で聞くときには、無粋な邪魔者が多く存在する。電車の走行音など、外部からの不快な騒音ノイズだ。

   そこで、人気が高まっているのが、騒音に強いイヤホンやヘッドホン。実際、最近のイヤホンは、遮音性に優れた耳栓型が主流になってきている。そうした中、ユーザーから注目を浴びているのが、「ノイズキャンセリング・ヘッドホン」だ。端的にいうとテクノロジーを使って外部の騒音を打ち消してしまおうというヘッドホンの進化系だ。

「NCヘッドホン」がいまや売り場の一大勢力

SHUREなど、数万円クラスの高級イヤホンとiPodを組み合わせるのが人気だ
SHUREなど、数万円クラスの高級イヤホンとiPodを組み合わせるのが人気だ

   ノイズキャンセリング(NC)・ヘッドホンは、BOSEのQuietComfort(クワイアットコンフォート)シリーズの発売をきっかけに、ここ数年でマーケットを急激に広げている。

   一昨年あたりから国内主要メーカーが続々とラインアップしはじめ、最安で5000円を切る低価格製品も登場。家電量販店では販売コーナーを独立して設けるなど、にわかに活況を呈している。なお、メーカーが異なっても、大抵の場合は型名にノイズキャンセリングの略である「NC」と入るので、通常のヘッドホンと区別がつく。

   そのNCの構造を乱暴にたとえると、「+1に-1を加えるとゼロになる」ということだ。ヘッドホンの両耳当て部分に搭載した小さなマイクで外部の騒音を拾い、その音と逆位相の信号をヘッドホン内に発生させる。すると、騒音は打ち消されて聞こえなくなり、再生音だけをクリアに楽しむことができるのだ。

   こうした仕組みには電源が必要だが、乾電池からパワーを得るのが現在の主流。駆動時間は30~50時間程度で、多くは電源OFF状態でも通常のヘッドホンとして使用できる。また、耳当て部分からコードを外せるタイプでは、NC機能だけを利用して「耳栓」代わりにも使える。

   気になるのはその効果のほどだ。賑やかな家電店内で、現在の主要製品を試聴してみると、ノイズ軽減の効果には差があり、機能をONにしてもほとんど変化が感じられないものもあった。高性能機種でも、機械のモーター音など低~中周波ノイズは面白いように消えるが、一般にNCは高周波には弱いとされる。

   また、耳や頭のフィット感も実に千差万別だ。NC性能が高くても、付けていて不快感があるのでは本末転倒。総じて値段相応と感じられたが、購入前には自分の耳で音と感触をチェックするべきだろう。

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