「ラリーで世界に黒煙をまき散らしてきた罪滅ぼしがしたかった」
家に帰ったら、プラグをコンセントにつないでチャージ!
「ジラソーレ」を販売するオートイーブィジャパンの高岡祥郎社長は、元ラリードライバーで、モータースポーツ業界ではその名を知られた人物。還暦を迎えた2002年に会社を創業した。
「これまでラリードライバーとして世界中に黒煙をまき散らし、また数々の野生動物を知らずにひいてしまった。そうした罪滅ぼしとして、何か地球に還元したいと思った。それが電気自動車の開発・販売だったんです」(高岡社長)。
「コストのかかる電気自動車の販売は絶対無理」という周囲の声をよそに行動を開始。「ジラソーレ」のベースとなる電気自動車の車両を生産していたイタリアのスタートラブ社と手を組み、日本向け車両の共同開発をスタートさせた。
日本の道路交通事情に合わせてモーターを新たに開発したほか、日本の電圧(100V)に対応した充電器の開発や安全面の向上、最新のリチウムイオンバッテリーの採用など数十項目にわたって改良を施した。苦労の末、ようやく販売のメドが立ったのは2005年ごろだったという。
しかし、それからも困難は続いた。特に国土交通省の認可に必要な安全基準をクリアーするには予想を超える資金が必要だった。「時速50kmでクルマを壁にぶつけるテストでは30台以上つぶしました。これはつらかった。資金に苦労して存続か断念かを考えたこともあった」と高岡社長は振り返る。大手自動車メーカーなら屁とも思わない金額でも、資力にとぼしいベンチャーにとってはあとがない大きな賭けだ。だが、へこたれなかった。
結局「ゼロから作るのと同じぐらいの手間と開発費」を投入。ようやく発売にこぎつけたのは07年1月のことだった。