民社党は死なず? 「反共」と「愛国」に生きた闘士たちの解党から30年

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山谷えり子、稲田朋美、河村たかし...知られざる人脈

   現職の国会議員に目を移せば、神道政治連盟の組織内候補で、ジェンダー教育や家族制度に一家言ある自民党の山谷えり子・元拉致問題担当相の国政初挑戦は民社党から。稲田朋美元防衛相はそもそも前出の高池弁護士が歴史裁判にスカウトし発掘した弁護士で、その歴史観が保守界隈の注目をあび、安倍晋三氏に一本釣りされた。自民党議員になった後も、後援会長は高池氏が務めている。

   また、国政に復帰した日本保守党共同代表の河村たかし・前名古屋市長は春日一幸・元民社党委員長の秘書出身。民社党公認で愛知県議選に立候補、落選した後、さまざまな政党を渡り歩くことになった......。

   つらつらと固有名詞を挙げてみたが、要するに民社党ゆかりの少なからぬ人々が保守派と共闘、または一体化し、それぞれの運動、政党の中でキーパーソンであり続けている事実が本著執筆の端緒、というのである。

   物語は田久保氏の死去や、民社党・同盟OBらが集まった結党60年の懇親会から始まる。「愛国の政治」というフレーズが歌詞にある党歌の斉唱につづき、乾杯の音頭をとった塚本氏の発声は「民主社会主義こそ日本を救うところの『愛国の政治』だと大きく叫んで乾杯させていただきます。同志のみなさん、乾杯!」だった。

   彼の奉じる民主社会主義とは何か。社会民主主義とはどう違い、また、息絶えだえの共産主義に今なお敵意をむき出しにするのはなぜか。懇親会の場面では、産経新聞元会長が「民社党は近い親戚のよう」とあいさつする場面などが記されているのだが、そうした冒頭の描写や筆者の問いかけが、本編の中で一つひとつ伏線回収されていく展開は読んでいて痛快である。

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