98.7%「生産コストが上昇」、96.2%「収入が減少」
また、生産コストと収入の変化について聞いた。その結果、酪農家の98.7%が「上昇している生産コスト」がある、96.2%が「減少している収入」があると回答した。
上昇を感じる生産コスト(複数回答可)では、「濃厚飼料費(配合飼料等)」94.4%、「農機具費」86.7%、「光熱水料・動力費」81.1%だった。減少を感じる収入では、「牛販売の収入」が95.2%、「生乳販売の収入」が30.4%などが上がった。
次いで、24年9月の牧場の経営状況について聞いた。それによると、「赤字」は58.9%、「黒字」は26.7%という厳しい結果に。離農を考えることがあるか質問すると、「よくある」18.6%、「まあある」29.2%で、離農を検討した酪農家は47.8%となる。一方、「あまりない」26.3%、「まったくない」21.2%、「わからない」4.7%だった。
酪農家からは次のようなコメントが寄せられた。
「牛乳を生産するためにかかってきているコストが大幅に上がっている事、その為にコスト分を補うためには販売価格が上がってしまうことを理解してもらいたい」
「赤字でも世の中のために生乳生産していることを理解してほしい」
「いろいろ工夫していますが経営厳しいです。牛乳を飲んでほしいし、活用してほしい」
北海道大学大学院・農学研究院准教授の小林国之氏は、「酪農危機は複数の要因」があるとしたうえで、
「穀物や資材価格の高止まりなどの要因は、ニューノーマルになると想定されます。つまり、高コスト時代の酪農経営のあり方への転換が、今求められているといえるでしょう」
「こうした転換はすぐにはできません。農業の中でも特に酪農は転換に時間が必要です」「短期間で構造を変えることが難しいのが酪農経営ですので、中期的なビジョンをもって取り組みを進めていく必要があります」
と指摘している。