日本の低金利政策は暗号資産への投資を促すのか?

提供:ClickOut Media Ltd.

   日本銀行は2024年7月30日と31日の金融政策決定会合で、追加利上げを決定し、0.25%程度の政策金利引き上げを実行している。

   しかし、たとえばアメリカのFRB(連邦準備制度理事会)は将来的な利下げの方針を示しているが、現時点の政策金利は5.50%と高い水準に据え置きされている。

   また、その他の国の例を見ると、ユーロは4.25%、イギリスは5.00%と、やはり高水準を維持している。このように、世界ではインフレ抑制のために金利が上昇もしくは高金利が維持されている中で、日本は異例の低金利政策を取っている。

ビットコインの取引が活発化

   そして、この政策により、日本の投資家は高いリターンを求めてより積極的な投資戦略を取る傾向に。その中で、特にビットコインやイーサリアムなどの暗号資産(仮想通貨)が、従来の法定通貨や株式に代わる投資先として浮上している。

   これには、暗号資産のボラティリティ(価格の変動性)の高さが投資家にとって魅力的なリターンの機会を提供しているという利点が影響している。

   日本国内では主要な暗号資産以外にも、プレセール(仮想通貨が上場する前に期間限定で販売されること)に対する関心も高まっているという。プレセール段階での暗号資産の購入は、将来的な価格上昇を期待した投資家にとって、さらなる魅力的な選択肢となるからだ。

   実際に、日本の暗号資産取引量は、近年ますます増加傾向にある。日本暗号資産取引業協会(JVCEA)の報告によると、23年6月の暗号資産の現物取引高は約159億円だが、24年6月には約504億円まで上昇。特にビットコインの取引が活発化しており、23年6月からの1年間で約51%増加している。

   今後、暗号資産関連のルールが緩和されれば、機関投資家の参入が促進される可能性もあるだろう。そうしたなか、24年8月には、東京証券取引所スタンダード市場の上場企業、投資会社のメタプラネットが10億円分のビットコインを購入。8月13日に5億円相当を購入していたが、20日にさらに5億円相当を追加購入して話題を集めた。

   なお、追加購入後には同社の株価は前日比で約11%の上昇。日本版「マイクロストラジー」とも称される、同社のビットコインに対する積極的な投資戦略は、日本人の暗号資産に対するさらなる信頼性向上にもつながるだろうか。

   一方で、日本の暗号資産市場の動向は、グローバルな要因にも大きく影響されている。たとえば、11月にはアメリカ大統領選挙を控えており、候補者たちは暗号資産に対してそれぞれ異なる施策を表明中だ。また、イランとイスラエル間の国際情勢の模様が注目されており、人々のリスク回避の動きは暗号資産の価格にも波及していくと見られている。

   このように、日本の低金利政策と暗号資産市場の活況は、金融業界や人々の生活に新たな変化をもたらしそうだ。しかし、この状況は大きな機会だが、他の投資商品と同様にリスクを持ち合わせていることへの理解は必要だ。この新しい金融の潮流は今後どうなっていくのか、その展開に注目が集まっている。(提供:Clickout Media Ltd.)

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