識学は2024年4月26日、20歳~59歳の会社員を対象におこなった「『ゆるブラック』に関する調査」を行い、その結果を発表した。
職場が「ゆるブラック」では会社にとってマイナス87.7%
<職場が「ゆるブラック」で転職は考えた? 「時期を決めて転職」18.3%、「いつか転職」39.3%、「転職は考えていない」39.3%>の続きです。
識学が実施した調査ではつづいて、「職場が『ゆるブラック』であることは、会社にとってプラスになると思いますか」と聞いた(n=300)。
その結果、「プラスになると思う」(「プラスになると思う」(2.3%)と「ややプラスになると思う」(10.0%)の合計)は12.3%。一方で、「マイナスになると思う」(「マイナスだと思う」(48.3%)と「ややマイナスだと思う」(39.3%)の合計)は87.7%だった。
理由については、以下のような意見が挙がったという。
○マイナスだと思う方の意見
・人材が育たないし、人離れしていく。(53歳女性/財務・会計・経理)
・やる気のある人がどんどん辞めていく。(42歳女性/事務・総務)
・人がいつかない。要領の良い人だけが生き残る。(56歳女性/事務・総務)
・結果的に人材育成や離職率が高いので、マイナスだと思う。(55歳男性/警備)
・現状維持が進み、会社としては衰退していく。(38歳男性/研究・開発)
・勉強したい人は退職してしまうので、向上心のない人材が集まってしまう。(41歳女性/医療)
○プラスだと思う方の意見
・働きやすいから。(50歳女性/事務・総務)
・若い子が子育てと両立しやすい環境だから。(50歳女性/人事・労務)
・人件費削減になっているから。(29歳女性/財務・会計・経理)
評価制度が「ある」55.0%、「ない」45.0%
つづいて、「どのような点が改善されれば、『ゆるブラック』が改善されると思いますか」と聞いた(n=300)。
その結果、最も多かったのは「福利厚生の充実」31.3%。次いで、「明確な評価制度」30.7%、「キャリアアップが見込める」29.0%、「社員同士の信頼関係がある」26.0%、「会社の成長が実感できる」21.0%、「研修などのスキルアップ制度」16.3%、「組織力がある」14.0%、「ジョブチェンジ制度」13.7%、「経営理念の共有」10.3%が続いた。
なお、評価制度の有無について聞くと(n=300)、「ある」55.0%、「ない」45.0%。「ある」と回答した人に、評価制度に納得しているか聞くと(n=165)、「納得している」(「納得している」(10.3%)と「どちらかと言えば納得している」(23.6%)の合計)は33.9%。「納得していない」(「納得していない」(30.9%)と「どちらかと言えば納得していない」(35.2%)の合計)は66.1%だった。
企業は従業員と真摯に向き合うことが大事
今回の調査結果に、調査元の学情は「『明確な評価制度』を構築していくことが『ゆるブラック』を改善する大きな近道といっていいでしょう」として、次のようにコメントを寄せている。
「成長やスキルアップを企業がサポートしていくことも、大きな投資を必要としない有効な打ち手となり得るでしょう。そのためには、企業側は求めるものを明確に提示し、アウトプットに対して、時には厳しい評価を下す必要もあります。それによって従業員は自分の不足を認識し、不足を修正する行動を取り、出来なかったことができるようになっていく過程で、自身の成長実感に繋がるのではないでしょうか。『ゆるブラック』な会社にならないために、従業員と真摯に向き合っていく企業側の覚悟が問われているのかも知れません」
なお、調査は2024年4月12日~13日、インターネットで行われた。対象は20歳~59歳の会社員。有効回答数は、スクリーニング2353サンプル、本調査300サンプル。