昭和の価値観を令和の時代に移すとハラスメントだらけという「不適切にもほどがある」というドラマが注目されているが、ハラスメントの境界線はどこにあるのか?
そんななか、キャリアや就職・転職に特化した匿名相談サービス「JobQ」を開発・運営する株式会社ライボの調査機関「Job総研」は2024年3月4日に「2024年 ハラスメントの境界線調査」の結果を発表した。
なかでは、調査対象全体の56.8%がハラスメントを「気にしすぎだと思う」と回答し、年代別では40代が最多になっている。
また、調査対象全体の83.1%が「〇〇ハラ」の増加する時代に「合わせる」としながらも、69.1%は「生きにくい」と感じている結果も出た。
「〇〇ハラ」増加する時代への賛否...「賛成派」69.5%
この調査は全国の男女20代から50代の現在職を持つJobQ Town登録者587人を対象に、2024年2月14日から2月19日まで、インターネット調査で調べたもの。
はじめに、ハラスメントの境界線について質問した。(境界線を)正しく認識している人は26.2%となった一方、「認識しているが正しいかは曖昧」だと答えた人は47.7%となり、およそ半分の人が境界線に自信がないことがわかる。
つぎに、ハラスメントの境界線への自身の意識は、「とても高くなっている」が13.8%、「高くなっている」が17.4%、「どちらかといえば高くなっている」が22.4となり、合わせて53.6%の人の意識が高くなっているといえる結果だった。
職場のハラスメントへの意識...「敏感」81.3%
続いて、職場のハラスメントへの意識の調査では、「敏感になっている派」(とても敏感になっている:22.8%、敏感になっている:24.9%、どちらかといえば敏感になっている:33.6%の合計)は81.3%で大多数を占めている。
なお、敏感になっている年代層は40代で「敏感になっている派」(とても敏感になっている:25.9 %、敏感になっている:25.9 %、どちらかといえば敏感になっている:35.3 %の合計)が87.1%と、世代の中ではとくに高かった。
他人の発言がハラスメントかどうか「気になる」78.7%
また、他人の発言がハラスメントかどうか気になるかを聞くと、「気になる」派(とても気になる:18.9%、気になる:24.2%、どちらかといえば気になる:35.6%の合計)は78.7%で過半数を占めた。
特に気にして神経を使う話題では、「外見や体形に関する内容」が61.0%、家族や個人的な問題に関する内容が55.2%、性別に関する内容が52.2%となった。
さらに、〇〇ハラが増加する時代への賛否を聞くと、「賛成派」(とても賛成:16.2%、賛成:14.5%、どちらかといえば賛成:38.8%の合計)は69.5%となった。
賛成する人にその理由を聞くと、「個人によって受け取り方が違うから」が53.7%で最多。次いで「心理的に安全な環境を作れるから」が48.0%、「被害/加害の予防ができるから」が43.6%という結果になった。
社会的に強くなるハラスメントの意識 40代の63.4%「気にし過ぎ」では
一方で、対象者全体にハラスメントの風潮への意識を質問した。すると「とても気にしすぎだと思う」が10.9%、「気にしすぎだと思う」が13.5%、「どちらかといえば気にしすぎだと思う」が32.4%となり、合計した「気にしすぎだと思う派」は56.8%で過半数を占めた。
特に40代の「気にしすぎだと思う派」(とても気にしすぎだと思う:18.0%、気にしすぎだと思う:13.7%、どちらかといえば気にしすぎだと思う:34.7 %)は、最多で63.4%となった。
調査対象者からのコメントには、
・なんでもかんでもハラスメントと言われると、冗談半分で指摘されても結構本気で気にしてしまう
・「〇〇ハラ」は話題になりやすいので、無理やりのこじ付けも起きやすい。発言が制限されて疲れる
・次から次へと知らないハラスメントが生まれてくるので、無意識に加害者になっていそうで怖い
などの意見が上がった。
「職場内だけでなく、個人単位で発言を見直す機会の必要性が見られる調査結果」
この調査結果に、Job総研室長の堀雅一氏は、次のようなコメントを寄せている。
「現時点で法律により禁止されているのは『パワハラ』『セクハラ』『マタハラ』の3つのみですが、ハラスメントの種類にかかわらず、職場での発言には気を配る必要はあります」
「しかし、多様性が尊重される一方で、個人が簡単に『ハラスメント』を作り出すだけでなく、それを容易に権威として振りかざすこともできる社会情勢により、40代をはじめとした上司世代の意識が、より敏感になっていると推察できます」
「法律で禁止されるハラスメントが今後増える可能性も考えられるため、生きにくさが職場コミュニケーションや成果に影響を及ぼす場合は、職場内だけでなく、個人単位で発言を見直す機会の必要性が見られる調査結果となりました」