自民党の議論では「競争力強化」が大義名分に GAFAなどとの競争でNTT法が制約
自民党は増税以外の防衛財源の確保策を検討する党内の特命委員会に、NTT法のあり方に関するプロジェクトチーム(PT、甘利明座長)を設置した。防衛財源確保のため政府が保有するNTT株を売却して完全民営化するには、NTT法の改正、または廃止が必要ということだ。
ただ、自民党の議論では「競争力強化」が大義名分として掲げられもしている。
GAFAなど米IT大手との競争では、NTT法が制約となっている。たとえば共同で技術開発する際、パートナー企業にとっては研究成果の公開が懸念材料になる。
法施行時は固定電話が生活に欠かせないものだったが、いまや携帯電話が主体となった。そのため、固定電話の需要は落ち込んで、ユニバーサルサービスとしての位置付けは大きく低下しており、そのコスト負担がNTTの競争力をそいでいるという指摘だ。
自民党内のこうした主張はNTTの意向を踏まえたもので、NTTが手掛ける次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」など先端技術開発を後押しし、国際競争力を強化したいとの狙いがある。
これに対し、ライバル社は反発している。
KDDIやソフトバンク、楽天モバイルなどは、NTTが電電公社から引き継いだ通信網や電柱などは「特別な資産」で、これを保有したままNTT法が廃止されれば、そうした資産を持たない他者と公正な競争環境は保てないという主張だ。
楽天モバイルの三木谷浩史会長は自身のX(ツイッター)で「国民の血税で作った唯一無二の光ファイバー網を完全自由な民間企業に任せるなど正気の沙汰とは思えない」「最悪の愚策」と投稿(11月14日)して法廃止を強くけん制。
これに対してNTT広報室の公式アカウントが17日、「保有資産は最終的には株主に帰属するのでこの主張はナンセンス」などと反論する事態になっている。