価格転嫁が難しい中小企業...政府も賃上げ支援に乗り出すが、効果は未知数か
こうした中、24年の春闘については「引き続き賃上げの動きは続くだろう」(アナリスト)との見方が一般的だ。
背景として、「企業の人手不足感が一段と強まっていることも追い風になる」(同)ほか、若い世代を中心に転職の動きが広がっており、これも賃上げにつながると指摘される。
ただ、こうした流れが労働者の7割が働く中小企業にまで広がるかは不透明だ。
賃上げの原資を作ることに苦しんでいる中小企業は多く、東京商工リサーチによれば、23年の春闘でも、賃上げを実施した企業は大企業で89.9%なのに対し、中小企業では84.2%にとどまった。
実際、「大企業に比べて中小企業は価格転嫁が難しいことが壁になる」と今後への懸念も多く、中小企業がどこまで賃上げに踏み込めるかが春闘全体の成否を左右することになる。
そこで、11月に決めた政府の経済対策では、岸田首相の肝いりで、中小企業の賃上げ支援を表明。赤字企業でも賃上げをした場合、後年に黒字になった際に税制の優遇を受けることができる繰越控除制度の創設を打ち出したが、効果は未知数だ。