日本カー・オブ・ザ・イヤー、最終選考に残った「10ベストカー」の中から決定 前回は「日産サクラ」「三菱eKクロスEV」ジンクス破るダブル受賞
これに対して、日本カー・オブ・ザ・イヤーは、自動車雑誌の出版社などが実行委員会を作り、自動車評論家やモータージャーナリストなどが選考委員を務めている。このため、これまでは高級車やスポーツカーの受賞が多かった。
2023年の日本カー・オブ・ザ・イヤーは11月3日、最終選考に残った10台を「10ベストカー」として発表した。
ノミネート順に、スバルクロストレック▽トヨタアルファード/ヴェルファイア▽トヨタプリウス▽日産セレナ▽ホンダZR-V▽三菱デリカミニ▽ステランティス・アバルト500e▽BMW X1▽マセラティグレカーレ▽フォルクスワーゲンID.4――の10台だ。この中から「今年の1台」が決まる。
ノミネート車を見てわかるように、RJCカーオブザイヤーと重なる部分はあるものの、顔ぶれは異なる。今回はいわゆる「走り屋」向けのスポーツカーは含まれていない。だが、アバルト500eとマセラティグレカーレなど、実用車だけでなく、趣味性の高いクルマが含まれているのが特徴だ。
2022年は「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」がRJCカーオブザイヤーと日本カー・オブ・ザ・イヤーをダブル受賞した。かつては、11月にRJCカーオブザイヤーを受賞したクルマは12月の日本カー・オブ・ザ・イヤーとならないジンクスがあった。22年はそんなジンクスを破ってのダブル受賞だった。
実は、その前の2021年も日産ノートが両賞を受けており、ダブル受賞は珍しくなくなったともいえる。とはいえ、前年の日産サクラと三菱eKクロスEVは、軽の本格的な電気自動車として画期的だった。今回の日産セレナにそこまでの先進性はない。
そこで、選考委員の関心を集めそうなのは、「走り」のよいスバルクロストレックを筆頭に、トヨタプリウス、ホンダZR-Vあたりだろう。
2つのカーオブザイヤーの存在意義を示すためにも、今回は結果として両賞は棲み分けを図ることになるのではないか。(ジャーナリスト 岩城諒)