新たな基準は「資本剰余金との合計額」、元々の中小企業が課税対象になる可能性も
この問題を検討してきた地方財政審議会(総務相の諮問機関)は23年11月14日、外形標準課税に資本金以外の新たな指標を加えるように求める意見書をまとめ、資本金と資本剰余金の合計が一定額を超える場合は課税対象にすることが適当とした。
自民党税制調査会の宮沢洋一会長も、そうした考えに同調する意向を表明しており、年末の2024年度税制改正大綱の決定に向け、具体的な金額などを詰める考えだ。
行き過ぎにも見える節税への対策は当然とも思えるが、具体的な制度設計は難航も予想される。
新たな基準を導入すれば、もともと資本剰余金を計上している中小企業が、新たに外形標準課税の対象になる可能性があるからだ。
日本商工会議所は、9月に出した税制改正の提言で、赤字企業への増税につながるおそれがあるとして「適用拡大には断固反対」と訴えた。経団連も「中小企業などの地域経済・企業経営への影響にも留意が必要だ」と指摘している。
宮沢・自民党税調会長は「節税したいがために(中小企業に)移ってきた企業だけを抽出する制度にできるかが一番大事だ」(日経新聞11月8日夕刊)と述べているが、具体的な線引きの金額や適用時期など、仕組み作りは容易ではない。(ジャーナリスト 白井俊郎)