大企業が資本金の減資で税制上の「中小企業」になって地方税負担を軽減する例が後を絶たないことから、総務省がそうした「抜け道」をふさぐ方策を打ち出した。
ただ、既存の中小企業にも影響が及ぶとあって、経済界からの反対の声が上がっており、一筋縄ではいきそうもない。
「資本金1億円」以下は税制上の「中小企業」になり、「外形標準課税」を免れる
問題になっているのは、企業が納める法人事業税(都道府県税)。普通の法人税と同様に利益に応じて課税される部分のほか、一定規模以上の大企業には、企業の規模に伴い課税される「外形標準課税」という仕組みが取り入れられている。
資本金額や従業員に支払った給与総額など、企業の規模を示す「外形」に則って課税するもので、赤字で所得税は納めていない企業も支払わなければならない。
黒字か赤字かにかかわらず、法人がその事業活動を行うに当たって地方団体の各種の行政サービスの提供を受けることから、これに必要な経費を分担すべきであるという考え方に基づいて設けられている制度だ。
自治体としては、景気変動に左右されずに安定的な税収が得られる点も重要だ。
だが、問題は、外形標準課税される線引きの「資本金1億円」だ。それ以下は税制上の「中小企業」になり課税を免れるため、大企業であっても資本金を1億円以下に減資するケースが相次いでいるのだ。