「私たちの気持ちを全然わかってない!」総スカンを食らった新米上司が、左遷先で見つけたマネジメントの本質とは?【部下の心を動かした『胸アツ』エピソード「6」前編】(前川孝雄)

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「私たちの気持ちを全然わかってない!」 顔をめがけて飛んできたオシボリ!?

   手を差し伸べたAさんの顔めがけて、なんと彼女はオシボリを投げつけてきたのです。そして、こう叫びました。

「Aさんは、私たちの気持ちを全然わかってない!」

   Aさんは一瞬何が起こったのか理解できず、頭が真っ白になりました。

   ただ、同席した8人の部下たちは、彼女の非礼を責めるどころか同情の様子。むしろ、Aさんへの全員の冷ややかな視線が、その場の意味を物語っていたのです...。

   Aさんは、一人で突っ走っていたのでした。結果を出してこそ仕事。目標達成すれば、チームの士気は高揚するもの。部下は結果の出し方を知っているリーダーの自分を信じて、ついて来てくれている...と、思っていました。しかし、それはとんでもない勘違いだったのです。

   Aさんは、管理職になってもイケイケドンドンの個人の感覚のまま。自分で動いて仕事をする現場のいちプレーヤーと、多様な部下を動かす上司とでは全く立場が違うことに、思い至らなかったのです。Aさんの課長としての言動が、絶大な圧力と破壊力をもって、部下たちの気持ちをなぎ倒していたのです。

「あなたの提案はロジカルじゃないので、顧客に受け入れられないよ」
「このフレームワークを使えば役員会も通るから、やり直ししてくれるかな」
「締めまでもう時間がないので、私の立てた戦術でいこうよ」

   しかし、こうした一言ひとことが部下を追い詰めていたことに、Aさんは全く気づきませんでした。彼のしていたことは、実は部下の気持ちを考え、思いに耳を傾けることなく、自分のやり方を強要していただけだった。その不満が、宴席でオシボリを投げつけられるかたちで爆発したのです。

   この「オシボリ事件」を境に、Aさんはすっかり自信をなくしてしまいました。翌日から職場でのやりとりは針のむしろで、ちょっとした声かけすらぎこちなくなりました。

   結果、チーム運営はうまくいかなくなり、上層部からもマネジメント失格の烙印を押されてしまいます。本部の基幹組織にいたAさんでしたが、その後しばらくして異動を命じられます。

   チームのマネジメントに失敗した末の、いわば左遷...。Aさんは大きな失意のうちに、地方の小さな支所へと転勤していきました。そこでAさんを待っていたのは...。

   この続きは<「私たちの気持ちを全然わかってない!」総スカンを食らった新米上司が、左遷先で見つけたマネジメントの本質とは?【部下の心を動かした『胸アツ』エピソード「6」中編】>で取り上げていきます。

※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著『部下を活かすマネジメント「新作法」』(労務行政、2023年9月)をご参照ください。

※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。


【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授

人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』(FeelWorks)、『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版)、『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks)、『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所)等約40冊。最新刊は『部下を活かすマネジメント「新作法」』(労務行政、2023年9月)。

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