日本製鉄、トヨタと三井物産への訴訟を放棄した裏事情 特許侵害の中国製鋼板使い、製造・販売と主張...裁判は、トヨタ側有利との予想も

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自動車業界は、部品値上げ受け入れへと変化...鉄鋼と自動車、関係再構築への第1歩か

   実は、今回の訴訟には、鉄鋼と自動車という業界の力関係が密接にかかわっていた。

   いうまでもなく、鉄鋼業界にとって自動車業界は最大級のユーザーだが、その分、利益率が低く、その割に厳しい品質や納入条件を要求されてきた。

   今回の提訴の直前の2021年夏、日鉄はトヨタとの価格交渉で供給制限もちらつかせながら値上げを勝ち取ったという経緯があった。

   大口顧客である自動車メーカーというユーザー優位の構造を変えたいという思惑が日鉄にあったと指摘され、提訴もこうした流れと無関係ではないとみられていた。

   その後、資源価格の高騰もあって、鉄鋼に限らず、自動車業界は部品供給で、以前に比べ、値上げを受け入れるようになってきた。

   こうした風向きの変化が、単純に今回の日鉄の訴訟放棄の判断につながったわけではないが、伝統的に自動車メーカーが優位だった仕入先との関係は、すでに変化し始めている。

   それだけに訴訟の終結は、鉄鋼と自動車の新たな関係を再構築していく第1歩になるのだろう。(ジャーナリスト 白井俊郎)

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