世界最低水準な日本企業の「従業員エンゲージメント」 単なる「人事面談」ではなく、いまこそ「1on1」を

部下からも気づいた点の共有を、積極的に

   では、企業の職場がエンゲージメントの高い状態を維持するためには、どうしたらいいか。

   なにがしかの対策を打っておきたいものです。その対策のキーマンとなるのが、マネジメント層。個別に組織でエンゲージメントを下げる機会につながる発言や行為を行わないようにケアをすることができる、唯一の存在だからです。

   ただ、組織を漫然と眺めていても要因はみえてきません。

   そこで注目度が高まっているのが、個別の面談機会=1on1を活用。社員の成長を促すために、上司と部下がマンツーマンで定期的にミーティングをするマネジメント手法のことです。ミーティングで使用する時間は平均15分から30分程度。短時間の面談を高頻度で繰り返すと、効果を発揮します。

   進め方として、部下からも気づいた点を共有する――つまり、対話の場として機会を提供することがポイントです。

   これまで各企業が行っていた人事面談は、評価や目標などの確認やすり合わせが主たる目的でした。ところが1on1でのアジェンダは、「相互理解」「業務に関する悩み相談」「今後について」が中心です。

   よって、コミュニケーション方法も比較的フランクな雰囲気で、部下の自発的な発言を尊重する「対話型コミュニケーション」で行うことを推奨されています。

   すでに半数以上の企業が導入済みともいわれ、エンゲージメント強化のために必須の手段として定着しつつあります。

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
株式会社セレブレイン
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