日本は研究費の出し方が野暮ったい? 資金調達はとにかく大変...
――話は変わって、月並みな質問ですが、こうした新しい分野で起業されているだけに、資金調達は大変でしたか?
羽生氏 大変です......。そればかりに追いかけられている感は正直あります。これは弊社を含めスタートアップ企業すべてに言えることですが、海外で得られる資金は日本国内で得られる資金に比べてケタ違いに大きいので......。
――やはり、海外の方が手厚いんですね。
羽生氏 日本国内では、「言い訳ができるお金」は出やすかったりします。「この研究はSDGsに資する」となれば、「海外ではこんなに研究費が使われているのであれば」とお金は出やすいんですが、アメリカは対照的ですよ。投資の動機として「俺が目指す世界を実現させるために、この資金を使ってくれ!」といった方がたくさんいるんです。
――そんな方がいるんですか! 何か、日本って野暮ったいですね!
羽生氏 そうなんですよね......。ただ、海外は今、転換期に来ています。海外は研究に対する投資がされやすいのは今お話ししたとおりですが、それゆえに、実現性が必ずしも高くない研究にも大量の資金が投じられていました。で、その後、頓挫しそうになっている例も見受けられます。たとえば、とりあえず試作品としておいしそうな培養肉はできたけれど、それを大量生産できるかという点がなかなかクリアできず、事業化がストップしてしまっている例があるんです。
――投資への判断は、やはり難しいですね。
羽生氏 なので、培養肉のような、世の中を大きく変え得る可能性がある一方で技術開発に莫大な資金が必要な新規事業を、果たしてスタートアップモデルでやるべきなのかといった声も上がり始めています。