大手百貨店各社が、2024年の初売りの目玉になる「福袋」を続々と発表している。
食品をはじめとした生活必需品の価格高騰が止まらず、家計への圧迫が強くなっている中、割安感のある商品をそろえた福袋が多い。モノではなく体験を楽しむタイプの福袋も増えている。
新型コロナウイルス禍が落ち着き、行動制限のない新年を迎えることから、各社とも明るい話題で新年を盛り上げたいと工夫をこらしている。
生活応援に...松屋、1年間毎月「米5キロ」届く福袋
まず目につくのが、毎月自宅に商品を届ける「サブスクリプション(定額)」タイプだ。
「家計を応援!サブスク福袋」を販売するのは東武百貨店。生活防衛の意識が高まっているとみて、お得感のある10種類の「サブスク福袋」を準備した。
たとえば、2万240円の「サブスク果物福袋」は、1万800円相当の旬のフルーツを6か月間、毎月1回自宅に届けるものだ。ほかにも「ご当地牛食べ比べサブスク福袋」など魅力的な商品も多く、人気を集めそうだ。 松屋も生活応援につなげたいと、割安感のある食品を多数準備している。レトルトカレー50食で1万3200円の福袋や、1年間毎月米5キロが届く4万3200円の福袋などを販売する。
話題の体験を楽しむ福袋 高島屋、「ムービングサウナ」福袋 そごう・西武、駅長体験&食事などセットに
ここ数年、福袋はモノでなく、「特別な体験」を提供するものが増えているが、24年もバラエティーに富んだ体験型福袋が目をひく。
高島屋で注目を集めそうなのが、「世界に一つだけ! あなただけの〝ととのう〟『ムービングサウナ』福袋」だ。これは、車に乗せて運ぶことができ、好きな場所に置いて楽しめる新しいタイプのサウナだという。最近のサウナブームを受けて企画したもので、1棟限定の販売で、価格は220万円。
23年には親会社だったセブン&アイ・ホールディングスによる売却問題や、それに反発する従業員らによるストライキなどで百貨店業界の話題をさらった「そごう・西武」は、「笑顔」がテーマ。明るさを呼ぶような楽しい福袋を多数企画している。
なかでも鉄道ファンや子供たちが喜びそうなのが、駅長体験ができる「西武鉄道 笑顔がいっぱい福袋」。西武鉄道の池袋駅の駅長体験に加え、西武池袋本店ダイニングパークでの食事などがセットになったもので、2万240円で販売する。
24年が辰(たつ)年であることから、竜にちなんだ景気のよさをアピールする福袋も登場する。
特に話題を集めそうなのが、大丸東京店で販売する竜の彫刻を施した水晶だ。価格はなんと1億1000万円。ものみな値上がりするインフレ時代の再来が喧伝される経済状況のもと、買い手がつくかも注目されそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)