米国の裁判では、iPhoneの標準設定への巨額対価が焦点
グーグルの検索などを巡る「独占」問題では、J-CAST 会社ウォッチが「グーグル独禁法訴訟、審理始まる...問われる検索サービス『初期設定』契約の違法性、世界的な大手IT規制の流れに影響大」(2023年9月27日付)で報じたように、米国で司法省などが訴えた裁判が9月に始まったばかり。
日本の公取委が問題にしているのと同様、スマホメーカーと、自社の検索サービスなどを標準設定させる契約を結んでいることが反トラスト法(独禁法)に違反するとしている。
特に米国の裁判では、OSがアンドロイドでなく、独自の「iOS」を使うアップルのアイフォーンでも、同様に標準設定の契約をしていることが大きな焦点になっている。司法省は、アップルとの契約でグーグルが毎年80億ドル(約1.2兆円)~120億ドル(約1.8兆円)の巨額の支払いをしていると指摘している。
さらに、10月27日には、同裁判の審理で、グーグルがこうした初期設定でスマホメーカーなどに支払う対価は、世界で2021年の1年間で263億ドル(現在のレートで約4兆円)になると、グーグル幹部が証言したと報じられた。
同年のグーグルの検索連動型広告の売上高は1489億ドルで、その2割弱が、初期設定を確実にするためメーカーなどに対価として支払われたことになる。
米国では、司法省とは別に、米連邦取引委員会(FTC)などが9月下旬、通販サイトの米アマゾン・コムが出品業者に対し、競合サイトで安く販売しないように圧力をかけるなどしているとして、反トラスト法違反で提訴するなど、巨大IT企業への規制の動きが強まっている。
(J-CAST 会社ウォッチ10月28日付「米連邦取引委員会、米アマゾン・コムを提訴...独禁法違反の疑い 巨大IT企業への『攻勢』強めるバイデン政権、狙いは世論へのアピールか」参照)