ジャパンモビリティショー(旧東京モーターショー)が東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれている。11月5日まで。
トヨタ自動車や日産自動車など自動車メーカー各社は近未来のコンセプトカーを発表したが、多くは基本的に試作車で、実際に発売するとは限らない。そんな中でも、近く市販する可能性の高いクルマで魅力的なのは何だろうか。
プレスデー前日まで明かされていなかった!マツダの「アイコニックSP」
トヨタの「FT-Se」と日産の「ハイパーフォース」は今回、両社が公開したコンセプトカーの目玉だ。
いずれも電気自動車(BEV)のスーパースポーツカーで、華やかで夢はあるが、そもそも走行できるとは限らない。日産のハイパーフォースはドイツのニュルブルクリンクと思われるサーキットを走る姿が映し出されたが、恐らくはCGだろう。
これに対して、モビリティショーには発売間近、ないし将来的に市販する可能性があるコンセプトカーも登場する。
その意味で、今回のモビリティショーのサプライズの一つは、マツダが発表したコンセプトカー「ICONIC(アイコニック)SP」ではないか。
マツダは10月25日のプレスデー(メディア向けの事前公開)の当日まで、アイコニックSPの存在を明らかにしていなかった。同日午前の毛籠勝弘(もろ・まさひろ)社長のプレゼンテーションで、初めて発表した。
アイコニックSPは、2ローターのロータリーエンジンをミッドシップに積む。ただし、このロータリーエンジンは発電用で、モーターを駆動するシリーズハイブリッドカーだ。
マツダはSUVの「MX-30」にロータリーエンジンを発電用に搭載しているが、こちらは1ローターだった。マツダのロータリーエンジンのスポーツカーは、これまで「RX-7」や「RX-8」が存在したが、いずれも2ローター(13B型)だった。
それだけに、アイコニックSPが2ローターとなることで、多くのモーターファンはRX-7やRX-8の再来を感じるのではないか。
毛籠社長はアイコニックSPを前に「マツダならではのコンパクトでレイアウトの自由度が高い2ローターのロータリーEVシステムを採用し、走りの良さを想起させる低重心のプロポーションを実現した」と胸を張った。
果たしてアイコニックSPはこのまま発売されるのか――。
マツダは今回、アイコニックSPの全長(4180ミリ)、全幅(1850ミリ)や最高出力(370PS)、車両重量(1450キロ)まで発表している。
ボディーデザインなど細部は量産向けに改良されるかもしれないが、ロータリーエンジンのスポーツカーにこだわるマツダは本当にこれを発売する気なのではないか。
かつて若者に人気のスペシャリティーカー、ホンダの「プレリュード」 ハイブリッドカーで登場?
もう1台、市販が確実といえそうなのは、ホンダが発表した「プレリュードコンセプト」だろう。こちらも、三部敏宏社長がプレゼン当日に発表したサプライズだった。
プレリュードは1980年代から90年代にかけ、若者に人気のスペシャリティーカーだったが、2001年に生産・販売を終え、ホンダのラインアップから消えて久しい。
ホンダは次期プレリュードの詳細を明らかにしていないが、航続距離を確保するため、BEVではなく、エンジンとモーターを用いるハイブリッドカーとなるようだ。
そのスタイリングは、全体のシルエットがトヨタGR86とスバルBRZに似ている。最近のスポーツカーのトレンドなのだろう。
三部社長はプレゼンで「現在、鋭意開発を進めている。ぜひ期待してほしい」と述べた。プレリュードが二十数年ぶりに復活するのは間違いないだろう。かつてのような人気を博すか。行方が注目される。(ジャーナリスト 岩城諒)