面談で仕事が楽しくないと言葉を漏らした部下とは、どう関わったらいいか?【リーダーの「コミュ力」vol.3前編】

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   みなさん、こんにちは。今回は、面談で仕事が楽しくないと言葉を漏らした部下とどう関わるか、というテーマでお話していこうと思います。

   今回は次のシチュエーションを想定して、上司としてどのようなコミュニケーションを取り、部下のモチベーションを引き出せばよいのか考えていきましょう。

「上司の薫陶」は逆効果!?

   以下のようなシチュエーションで考えてみましょう。

【シチュエーション】
 入社2年目の部下Cくんは頼んだ仕事はきちんと実行してくれるが、主体性をあまり感じられない社員だ。
 本日はそんなCくんと4回目となる個人面談の日。少しずつだが、建前から本音の言葉を引き出せるようになってきている。
 そして今回、Cくんが「実は仕事が楽しいと感じないんですよね...」と、率直な気持ちを吐露した。仕事はあくまでお金を得るためにしていて、仕事に対して達成感がなく、やらされている感じがしてしまうという。
 上司のAさんは、どのような言葉かけをしたら良いかわからず、「自分にも仕事が楽しくない時期があったけど、目の前の仕事に一つずつ本気で取り組むことで、仕事の楽しさがわかるようになった」と自身の体験談を語った。
 しかし、Cくんから返ってきたのは、「はあ。そうですか」という言葉だけだった......。

   みなさんは、部下から仕事が楽しくない、と言われた経験はありますか。言われたときに、どのようなコミュニケーションを取ればよいのかわからない、アドバイスしたけど部下の反応が薄くて焦ってしまった......という方も多いのではないでしょうか。

   部下が楽しく仕事に取り組めるよう、力になってあげたい。でも、どのようなアドバイスをするのが効果的なのかわからない。そんなときに、ついとってしまいがちな行為が、自身の体験談を語り、部下に薫陶を授けようとすることではないでしょうか。

   部下の気持ちを体験してきたからこそ、自分の経験を役立てて欲しいという気持ちはよくわかります。また、共感を示すことで、部下がやる気になってくれるんじゃないか、という気持ちにもなりますよね。

   しかし、そういった人生論を語ることが部下のモチベーションを引き出すのに逆効果に働くとしたら、みなさんはどう思いますか。そして、実はもっと効果的なコミュニケーションの仕方があるとしたら、いかがでしょうか。

部下が「求めているもの」にヒントが隠されている

   みなさんは、仕事のどこに楽しさを見出していますか。

   「業績を上げること」「新しいことにチャレンジすること」「部下を教えること」などあるでしょう。この「楽しさを見出すポイント」は、人によって異なるのではないでしょうか。

   「選択理論心理学」では、私たちは誰もが求めるものを得ようとして行動を選択していると伝えていますが、この「求めるもの」は人によって異なります。

   たとえば、今回のケースでCくんが求めているものが「人からありがとうと言われること」だったとします。「ありがとう」と言われたいCくんに、「目の前のことに本気で打ち込み、業績が上がれば仕事は楽しくなる」と伝えることは、果たして魅力的でしょうか。

   もしCくんにアドバイスをするのであれば、過去にお客様からありがとうと言われた経験を伝えることの方が、効果的かもしれません。

   つまり、大切なことは上司の経験則をただ伝えることではなく、まず部下が「求めているもの」を知ることなのです。

   <面談で仕事が楽しくないと言葉を漏らした部下とは、どう関わったらいいか?【リーダーの「コミュ力」vol.3後編】>では、今回のシチュエーションに対する返答の具体例をご紹介したいと思います。(橋本拓也)


【プロフィール】
橋本 拓也(はしもと・たくや)
アチーブメント株式会社 取締役営業本部長

2006年アチーブメント株式会社に入社。新規事業として家庭教師派遣事業を立ち上げたのち、医師・弁護士・会計士などの専門職業人、経営者やセールスパーソン等の目的・目標達成の支援を行うパーソナルコンサルタントとして活躍。2017年同部門の東日本エリア担当マネジャーを経て、2021年執行役員、2022年取締役に就任した。100名以上のメンバーマネジメントに携わる傍らで、『頂点への道』講座 アチーブメントテクノロジーコース・ダイナミックコースのメイン講師を担う。これまで各種研修で担当してきた受講生の数は2万名を超える。

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