ある新入社員が「上司との飲みニケーション」を3か月実行して、気づいたこととは?【部下の心を動かした『胸アツ』エピソード「5」後編】(前川孝雄)

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上司が自分自身の言葉で、しっかりと思いを伝えること

   上司の側から部下に対し、進んで対話をすべき理由は、他にもあります。

   時代が大きく動き、企業の内外環境が激変しているとはいえ、現在の職場と仕事の進め方においては上司に一日の長があり、しっかりと伝えるべき知恵や情報があるからです。

   働くうえで、組織とはいったい何か。メンバー1人ひとりが、お互いにどのように役割を果たし合うべきか。職場での円滑な人間関係やチームワークのためには、どのような心がけが大切か。いかに行動すれば、自身の働きがいや成長につながるのか...。

   上司が先輩ビジネスパーソンとして若手世代に伝えるべきことは、少なくないはずです。一方的な押しつけにならぬよう配慮し、若手部下の価値観や立場を尊重しつつも、働く上での知恵や思いを上司自身の言葉でしっかりと伝えていくことが大切です。

   上司による傾聴の大切さが喧伝される時代ですが、いかに傾聴スキルを学び活用できたとて、上司自身の人柄や価値観を知らないなかで、部下は安心して本音を話すことはできません。上司は自己開示の大切さも認識しておくべきです。

   その際気を付けたいのは、部下に伝える内容が上司自身の「武勇伝」にならないこと。かつての上司の成功体験や自慢話ばかりを聞かされては、部下との相互理解やモチベーション向上には逆効果です。過去からの学びという意味では、むしろ「失敗談」のほうが求められます。

   何よりも昔話ではなく、若手世代と共にこれからの職場と仕事をいかに創っていくか。将来展望と次世代への期待に基づいた、前向きな対話を心がけましょう。

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