「前川孝雄の『上司力(R)』トレーニング~部下の心を動かした『胸アツ』エピソード」では、実際にあった感動的な現場エピソードを取り上げ、「上司力(R)」を発揮する方法について解説していきます。
今回の「エピソード5」では、<ある新入社員が「上司との飲みニケーション」を3か月実行して、気づいたこととは?>というエピソードを取り上げます。
若手世代とのコミュニケーションに悩む上司たち
働き方改革が進み、残業は規制され休暇は取りやすくなり、3年にも及んだコロナ禍の影響もありリモートワークも普及しました。ワークライフバランスの重視や、社員のプライバシーへの配慮、ハラスメント防止などの風潮からは望ましい変化のはずです。
しかし悩ましい副作用が顕在化しています。それは、上司と部下のコミュニケーションの希薄化です。
個々人にとって柔軟で働きやすい環境が整備されてきた一方で、職場の飲みニケーションは日常の風景ではなくなりました。生産性向上が強く求められるなかで、職場での何気ない雑談は激減。上司と部下のやりとりは仕事上必要最小限に終始するケースも珍しくなくなっています。
売り手市場傾向が強まり早期離職が増えていることもあり、特にZ世代の若手などとのコミュニケーション不足を課題と感じる上司が増えつつあります。私の会社が開講する上司力(R)研修でも、世代間ギャップに悩んでいる上司が目立ちます。
人事部から求められる1on1ミーティングを実施するも、「何をどう話せばよいかわからない」「結局業務の話で終わった」「とはいえ、飲みに誘う時代でもないし、ハラスメントと思われたら面倒」という本音も聞こえてきます。