「アメリカン・ドリーム」とは対極な「シン・生きがい」、海外でなぜブーム?! ありのままの自分に自信を持って(井津川倫子)

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   海外で「ikigai(生きがい)」がブームになっています。

   海外から評価されて初めて日本の価値に気がつくことがありますが、「ikigai」はまさにその典型。一時のブームを超えて「ikigai」が英語として定着した背景には、「ありのままの自分に自信を持って前向きに生きる」というコンセプトが、人々の心に響いたからでしょう。

   従来の概念とはちょっと異なる「シン・生きがい」の見つけ方を、海外から学んでみました。

誰でもみんな「持っている」! 「他人よりちょっとだけ得意なことは何ですか?」

   先日、テレビを見ていたら、英語学習動画で有名なユーチューバーが「日本語にあって英語にない言葉は『生きがい』だ」と紹介して、司会のマツコ・デラックスが驚く場面が映し出されました。

   今ではすっかり「ikigai」として英語になっていますが、「ikigai」に相当する概念が他の国には存在しないのでしょうか?

   海外で「日本人の生き方」だと紹介されている「ikigai」は、次の4つの要素を含むと定義されています。

あなたが好きなこと
あなたが得意なこと
世の中が求めていること
それによってお金を得られるもの

   「ikigai」のベースとなっているのは、長寿で知られる沖縄の人々の人生観です。

   沖縄の高齢者へのインタビューをもとに、日本人が健康で長生きしている秘訣が「ikigai」だと紹介しているのですが、日本人がみんな「ikigai」を感じているわけではないですし、外国人の視点でアレンジされた定義に違和感を覚える方もいると思います。

   それでも、良いものは否定せずに取り入れる方が得策です。海外で多くの人が「生き方が変わった」と絶賛(!)する「ikigai」を「シン・生きがい」と再定義して、日々の過ごし方を見直してみませんか。

   「シン・生きがい」を見つけるコツとして推奨されているのが、自分に問いかけをする方法です。具体的なやり方を紹介すると...。

What is your favorite pastime?
(楽しいと感じることは何ですか?)

   あなたがやっていて楽しいこと、自分がイキイキしているなと感じるものを思い浮かべてみましょう。特に決まりはなく、趣味でも仕事でも、家族や友達と過ごす時間でもOK。「必ずしも上手にできなくてもいい」そうですから、「楽しいと感じること」を優先して下さい。

What are your unique skills?
(あなたが得意なことは何ですか?)

   「どんな人でも人生をより豊かにできる才能や技を持っている」というのが「シン・生きがい」のポイントです。自分を肯定することからスタート。コツは、「特に努力をしなくても、他人よりちょっとうまくできること」を見つけることだそうです。

What can you contribute the world?
(世の中の役に立てることがありますか?)

   ちょっと視点を変えて、「他の人があなたに望んでいること」を考えてみましょう。自分が望むことよりも、家族や友人、会社や地域が望んでいることに思いを巡らせてみると、「世の中に貢献できること」に気づくそうです。小さな貢献でもいいそうですよ。

You can be paid for what you do?
(何か、お金を払ってもらえることはありますか?)

   誤解されがちですが、「お金にならないと意味がない」ということではありません。むしろ「シン・生きがい」の特徴は、「経済的メリットを重視しないこと」だと強調されています。社会的に成功して大金を得ることを目指す「アメリカン・ドリーム」のような西洋的思考とは対極、だそうです。

   あなたが好きなことややりたいことをマネタイズできるか、それがお金になるかどうかを問いかけてみる。もし、複数候補があるのなら「お金を払ってもらえそうなものを選ぼう」とアドバイスしています。ボランティアも重要ですが、「対価を得られる方が、より生きがいを感じられる」という考え方です。

   いかがでしょうか。こうしてみると、「シン・生きがい」のハードルの低さが浮き彫りになります。特別な才能ではなく、一人ひとりが「持っている」ものを肯定して、それが誰かの役に立ったり、多少なりとも対価をもらえたりする方法を探してみよう、という提案です。

   海外流のやり方を参考に、ぜひ、あなたにとっての「シン・生きがい」を見つけてみてください。

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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