工具通販大手、MonotaRO(以下モノタロウ)の株価が2023年10月19日の東京株式市場で一時、前日終値比43円50銭(3.4%)安の1217円50銭まで下落し、約3年7か月ぶりの安値を付けた。その後も下値を追う展開になっている。
22年12月期まで13年連続で、最終利益が過去最高を更新する驚異的な成長 23年12月期も増収増益見込む
モノタロウがどういう会社なのか、まず確認しておこう。
広告宣伝を積極的に行っているのでテレビやラジオのCMで見聞きした、という人がいるかもしれない。CMでは「モノタロウ モノタロウ 現場で使う 消耗品を ネットで注文 モノタロウ~」などと合唱している。
ネット企業は知名度の底上げが命題。顧客となる製造業の中小企業はラジオがつけっぱなしの会社も多いので、何度も流して名前を覚えてもらおうという作戦のようだ。
そんな同社の成り立ちだが、2000年に住友商事と米国の工場用間接資材販売会社グレンジャーが出資して、住商グレンジャーとして設立。06年に現在の商号に変更した。グレンジャーは現在も49.88%の大株主で親会社だ。ただ、モノタロウがグレンジャーにネット通販のノウハウを提供し、ロイヤルティを得るという関係でもある。
モノタロウの取り扱い点数は、現在2000万点超。主な顧客は中小企業で、大企業を対象にした購買管理システムも手がけている。9割超は国内向けだが、インドネシアやインドなど海外にも進出している。
2022年12月期まで13年連続で、最終利益が過去最高を更新するという驚異的な成長ぶりを見せており、2023年12月期も増収増益を見込んでいる。
証券各社の目標株価の引き下げ、今夏以降続く 「売上高の伸びが鈍化しているが原因がはっきりしない」
ただ、ここへきて成長に一服感が出ているのが、株価調整の要因のようだ。
10月19日に株価が下落したのは、同日配信されたゴールドマン・サックス(GS)証券のリポートで、目標株価が1600円から1200円に引き下げられたことが影響した。引き下げ理由として、増収率の低下傾向が明確になったことを挙げた。
たしかにモノタロウが公表している月次データによると、10月10日に開示した9月実績は売上高が前年同月比8.5%増と1月以来、8か月ぶりに一桁の伸びにとどまった。新規顧客獲得数も8月、9月とやや弱い数字が続いている。
証券各社による目標株価の引き下げは、今夏以降続いている。
7月に2400円から2000円に引き下げたSMBC日興証券はリポートで「売上高の伸びが鈍化しているが原因がはっきりしない。鈍化の要因が不明ならば改善策の実行が遅れてしまう」という趣旨の懸念を記していた。
そうしたムードが株式市場にあることも買われにくくなっている要因のようだ。(ジャーナリスト 済田経夫)