「運用型広告バブル」にもう依存しない! アイティメディアの「セグメント再編」の意図を探る【よくわかる企業分析】

セグメントを「BtoBメディア」「BtoCメディア」へ変更

   アイティメディアは、2024年3月期より報告セグメントを変更しています。旧セグメントは「リードジェン事業」と「メディア広告事業」でしたが、新セグメントでは「BtoBメディア事業」と「BtoCメディア事業」という区分けになっています。

◆BtoBメディア事業:IT業界事業者向け

・リードジェン:「TechTargetジャパン」「キ-マンズネット」など企業向け製品やサービスの導入検討に役立つ専門情報サイトを運営し、会員限定で情報を公開することでクライアントのセールスリード(営業見込み客)の発見を支援する事業です。
・受託型デジタルイベント〔旧リードジェン事業〕:企業が主催するデジタルイベントの企画・運営を支援する事業です。
・主催型デジタルイベント〔旧メディア広告事業〕:IT業界の最新トレンドや技術を紹介するデジタルイベントを自社主催で開催しスポンサー収益を得る事業です。
・広告〔旧メディア広告事業〕:「@IT」「ITmedia NEWS」「MONOist」などIT業界の企業向けにメディアやイベントへの広告掲載を提供するサービスです。広告枠の販売(バナー広告や動画広告、記事広告)やタイアップ広告などがあります。

◆BtoCメディア事業:一般読者向け

・運用型広告〔旧メディア広告事業〕:「ねとらぼ」など運営するメディアが記事内に掲載した「運用型広告(アドネットワーク広告)」の表示回数やクリック数、コンバージョン数などの成果に応じて広告収入を得るビジネスモデルです。

   新セグメントが採用された2024年3月期第1四半期決算における売上収益の構成比は、BtoBメディア事業が15億円(83.4%)、BtoCメディア事業が3億0100万円(16.7%)。営業利益率はBtoBメディア事業が24.1%、BtoCメディア事業が17.6%でした。

   売上収益減少の要因として、決算短信には「米国テクノロジー市場の悪化を背景とした外資系顧客からの広告収益の減少」「新型コロナの収束期待の高まりに伴う(リアルイベントへの)揺り戻しを背景としたデジタルイベント収益の減少」「広告市場単価の低迷による運用型広告収益の減少」の3つがあげられています。

こたつ経営研究会
こたつ経営研究会
有価証券報告書や決算説明書などの公開情報を分析し、会社の内情に思いをめぐらすニューノーマルな引きこもり。昼間は在宅勤務のサラリーマンをしながらデイトレード、夜はネットゲームをしたりこたつ記事を書いたりしている。好きなピアニストはグレン・グールド。嫌いな言葉は「スクープは足で稼げ」。
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