生成AIが進化し、消滅する職業は?
生成AIが駆逐する職業を尋ねたクイズもある。生成AIがますます高度になって実用化が進むことで「ある種の人々や行為が1年後には消滅するのではないか?」というのだ。
答えは「迷惑行為の動画アップロードやそれを職業にする迷惑系YouTuber」だ。なぜなら、生成AIはますます進化し、巧妙になる。すると、ディープフェイクの動画・画像がネットを騒がせる主役になり、迷惑動画のアップロードは割に合わない活動になるからだ、と解説する。
業界を変える「破壊的イノベーション」にも驚いた。
コンパクトEVカーのライバルが、家電量販店にあるというのだ。それは何か? 答えは「電動トゥクトゥク」だ。3輪走行の屋根付きバイクで、タイを中心に普及。日本でも普通自動車免許があれば公道を運転することができ、価格は軽自動車の3分の1と格安だ。
ハイテク、ローテクに限らず、破壊的イノベーションは起きている。100円ショップの「ダイソー」もその例で、人々の生活習慣を変えるインパクトを持っている。
「制約からの需要創造」という戦略では、ファミリーマートが展開する「ファミマソックス」を取り上げている。「工夫ができるアイテムのみ取り扱う」という戦略があるが、その工夫とはなにか?
それは「サイズ展開が少ない商品を選んでいる」ことだった。限られたスペース内で売り場を充実させるため、靴下とTシャツを扱っている。靴下のサイズは2つのみ。男女に分けない。その代わりカラーバリエーションを豊富にしている。
競合との差別化として衣料分野でブランディングするという狙いは成功したようだ、と評価している。
本書は、取り上げている素材がどれも新しく、身近なものばかりだ。そう言えば、近所の酒類量販店の中に「ダイソー」がオープンした。これは「飽和状態をコラボレーションで打開する」という戦略に、当てはまると思った。
戦略思考のネタはいろいろなところに転がっている。(渡辺淳悦)
「コンサルの最新・戦略思考が2時間で身につく トレーニングBOOK」
鈴木貴博監修
宝島社
1650円(税込)